2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02579
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 雅哉 北海道大学, 文学研究科, 教授 (40216908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 容子 金城学院大学, 文学部, 教授 (10434359)
加部 勇一郎 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (30553044)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀中国の主要な視覚メディアである連環画(絵物語)を取り上げ、人々のイメージの生成と伝播、受容の様相を明らかにせんとするものである。内容は多岐に渡り、数量も膨大であり、なにより今まで研究対象として扱われることがあまりなかったメディアであるため、その整理と保存が危急の課題と言えるものである。 平成29年度の研究成果は、具体的に以下の三点に集約される。それらは「1、研究会の開催」「2、連環画の保存と整理に関する作業」「3、学術研究誌『連環画研究』の編集と刊行」である。 研究会は9月に開催され、招聘したゲストスピーカーを含めた研究者たちの間で、当該分野に関する活発な意見交換が実現した。 連環画の保存と整理に関しては、今年度はとくに、1950年代から80年代頃までの低年齢層向けの連環画(絵本を含む)を中心にスキャン作業を進めた。それらは、20世紀中国の図像文化と児童文化を知る上での、大変に貴重な資料群と言えるが、いままで日本の研究機関などでは、ほとんど顧みられることがなかったものばかりである。本作業は、その書誌データおよび版面を記録し整理するという基盤作りにあたる。 学術研究誌については、ソビエト文学(およびそれを元にした映画・ドラマ)の中国的受容、1980年代のカンフー映画を連環画にした「電影連環画」の表象分析、文革期における劉少奇形象の分析と解説、民国期から新中国にかけて活躍した漫画家の活動の軌跡、民国期に生まれた少年形象「三毛」の建国後の変容、台湾発絵本の表象分析、などをテーマにした論考が寄せられた。提出された論文それぞれが、連環画(および漫画や絵本)という研究対象の興味深い様相を明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の進捗状況は、定例研究会の開催、関連書籍の購入、資料の整理と保存、国内での資料調査、研究誌の刊行など、おおむね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
定例研究会の開催、国内外への資料調査、関連書籍の購入、資料の整理と保存、研究誌の刊行などを引き続き行なう。また、平成30年度の研究会もまた、ゲストスピーカーを招聘する。 最終年度であることに鑑み、資料やデータベースの一部公開に向けて、その方法について議論を重ねる。また、より多くの資料を保存するために、作業にあたる人員や作業時間を増やすなどの措置を講じる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた国外調査を行なわなかったこと、資料の購入が少なめだったことによる。最終年度にあたる次年度は、国外における資料調査を実施する予定。また、引き続き、ゲストスピーカーを招聘し、研究会の更なる活性化を図り、その成果を研究誌に結実させる。
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Research Products
(10 results)