2021 Fiscal Year Research-status Report
先秦両漢の詩賦とその解釈の再検討―「南方エキゾチシズム」の観点から―
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16K02583
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大野 圭介 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (30293278)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国文学 / 神話 / 詩経 / 毛詩 / 古注 / 楚辞 / エキゾチシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は楚地の神話伝説を色濃く反映しているとされてきた『山海経』について、書名の「山海」という語がどのように生じたのか精査したところ、もとは戦国期の斉の思想を反映した『管子』に説かれる経済政策に特有の術語であり、漢初までに楚にも広まっていた可能性が高いことが判明した。しかし『山海経』の中で内容や記述スタイルに『管子』との関連性が認められるのは前半の五蔵山経の部分のみであり、しかも海産物や塩業に関する記述は皆無であることから、『山海経』という書名が成立したのは五蔵山経と後半の「海経」とが合して以降のことと考えられる。これらの内容について、2021年12月に北京師範大学珠海校で開催された「第二届早期中國經典研究學術研討會」において口頭発表を行った。 また前年度に引き続いて、「桃の会2017年9月例会」において行った口頭発表「舜の「南風歌」をめぐって」について、『孔子家語』のテキストとしての信憑性を中心に再検討を進めた。これは先秦の『尸子』以来『孔子家語』に至るまで文献に歌詞が見えない「南風歌」について、『韓非子』以後前漢期には「舜が五弦の琴を弾いて『南風』を歌った」という話がほぼ固定した形の句として語り伝えられていたこと、この歌の形式が舜のような帝王の歌と伝えられているどの歌とも類似せず、むしろ『孟子』及び『楚辞』漁父に引かれる「滄浪歌」と類似することに注目し、「南風歌」は帝王の歌にふさわしくないと認識された故に文献には録されなかったものの、楚北地域に脈々と伝承されていた可能性を論じたものである。 以上の研究は最終年度において論文として完成させ、発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響により、他大学の図書館での文献調査等が困難になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度前半は停滞している前年度の研究を完成させることに注力する。後半において『詩経』古注と『楚辞』の関係について精査し、本科研費研究の成果を最 終的に取りまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、当初使用予定の図書や文献複写にかかる費用が使用できなかったため。次年度は図書費及び文献複写費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)