2019 Fiscal Year Research-status Report
日本現存の旧鈔本を中心とする文選資料群に関する総合的研究
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16K02588
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
陳 羽中 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50457412)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2021-03-31
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Keywords | 文選 / 旧鈔本 / 白氏文集 / 史記 / 漢籍交流史 / 九条本 / 昭明太子 / 李善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、引き続き日本に現存する旧鈔本・和刻本などの文選資料群を整理し、日中を中心とする文選注釈史の異なる展開に対する学際的な考察を行った。具体的な成果は以下の通りである。①計画した國際共同研究を実行した。中国の文選研究者を客員研究員として本学に招聘し、日本に現存する漢籍資料に関する共同調査を行った。また、来日中の中国文献学者を本学に招聘して共同研究を行い、その研究成果を中国中世文学会令和元年度研究大会にて報告した。②引き続き本学所蔵の九条本文選を底本とし、九州大学所蔵本との校合を行った。その研究成果一部は、国内の学術誌に公刊した。③平安時代を中心とする正倉院文書・公卿日記などの古文献に見られる『文選』に関する記録を整理して研究を行い、その研究成果を国際学術誌である『国学研究』第四十二巻(北京大学国学研究院中国伝統文化研究中心編)に投稿して採用された。④日本及び中国の仏教資料に見られる文選に関連する記録を整理して研究を行い、その研究成果の一部を国内学術誌に公刊した。⑤現段階で取得した研究成果を整理し、『史記』、『文選』、『白氏文集』を中心とする東アジア漢籍交流史研究の一環で公刊された研究成果の中に、とりわけ十一世紀から十三世紀の日本における漢籍の伝来・鈔写及び注釈・解釈に焦点に当たるものにもとづき加筆訂正を行い、『日本漢籍交流史の諸相―文選と史記、そして白氏文集』(新・日中文化交流史叢書、王勇主編)を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに中国の学者を招聘して共同研究を行い、旧鈔本文選の整理することを順調に推進することができた。また、本研究の研究成果の一部が専著として公刊できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き九条本を中心とする旧鈔本文選の翻字及び書き入れ注の整理をさらに進めていき、各資料の所蔵機関に出向き、可能な限りに原本を確認する上で翻字及び校注を加える。また、ここまでの研究成果を纏め、中国にも本研究の成果を反映する学術論著を公刊する予定である。
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