2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on the Text of the "Shuihuzhuan"
Project/Area Number |
16K02592
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
小松 謙 京都府立大学, 文学部, 教授 (00195843)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水滸伝 / 版本 / 本文 / 金瓶梅 / 武官 / 校勘 / 金聖歎 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題に関してすでに4本の論文を刊行した前年度までの成果を踏まえ、新たに発見した『水滸伝』石渠閣補刻本と他版本との完全な校勘を第七十一回まで実施し、その結果をもとに論文「『水滸伝』石渠閣補刻本本文の研究」を『中国文学報』第九十一冊に発表した。同誌は、石渠閣補刻本発見に当たって協力した上原究一・荒木達雄・孫琳浄の各氏による論文をあわせて、同版本に関する考察を各方面から徹底的に行ったものであり、各執筆者は綿密な連絡を取りながら、共同研究に近い形でそれぞれの論文を執筆した。これらの研究は、従来の『水滸伝』研究を塗り替える画期的な意義を持つと評価されている。 これと並行して、『水滸伝』ときわめて深い関わりを持つ『金瓶梅』の成立に関する研究を進め、同書が『水滸伝』に対するいわばアンチテーゼとして創作されたことを論証する論文「『金瓶梅』成立考」を執筆した。同論文は完成済みであるが、非常な長篇であるため、発表場所を得ることが困難と考えられる。そのため、すでに発表済みの『水滸伝』を論じた5本の論文とあわせて書籍『『水滸伝』と『金瓶梅』の研究』(仮題)とし、成果を社会に還元するため2020年度研究成果公開促進費に応募すべく準備中である。 また、日本中国学会大会において、シンポジウム「武官・武人と文学」を主催し、早稲田大学の岡崎由美氏・神奈川大学の松浦智子氏・九州大学の井口千雪氏とともに、武官と武人が文学にどう関わったかについての発表を行った。同シンポジウムでは、本課題の成果を踏まえて、特に『水滸伝』『金瓶梅』と武人・武官の関係について論じた。同シンポジウムは、中国文学を新たな視点からとらえるものとして、大きな反響を呼んだ。 更に、『水滸伝』の原型であったとされる語り物芸能研究を深めるため、敦煌変文研究会を主催し、その成果として「大目乾連冥間救母變文」訳注(一)(二)を共著で発表した。
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Research Products
(4 results)