2016 Fiscal Year Research-status Report
岡倉天心とタゴールの反響するアジアへのまなざし-植民地主義をめぐる日印の比較研究
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16K02602
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
外川 昌彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70325207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / ベンガル / タゴール / 岡倉天心 / スワーミー・ヴィヴェーカーナンダ / 文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、計画の初年度として、資料収集や関連分野の研究者との情報交換のための学会や研究会での報告を中心とした活動を実施した。特に、本計画に関わる研究報告として、本年度は海外での積極的な発信を試みることで、国内外の学会などでの報告は18回を数えた。そのうち、本研究に関する海外からの招待講演は、次の通りである。アジア協会(カルカッタ、2017年3月15日)、デリー大学(デリー市、2017年3月17日)、国立タゴール国際大学(シャンティニケトン、2016年8月26日)、国立ジャハンギルノゴル大学&ウットラ大学(バングラデシュ・ダッカ、2016年8月5-6日)などである。 国内での報告としては、「宗教と社会」学会(6月11日)、東京外国語大学AA研(6月16日)、京都大学INDAS研究会(7月20日)、日本宗教学会(9月11日)などで報告を行った。また、研究成果の社会への還元という意味で、本年度は、日本サルボダヤ交友会(10月2日)、4大学連合文化講演会(10月28日)、国立ジャハンギルノゴル大学(12月6日)、ディスカバー・インディアクラブ(12月18日)などでの招待講演を行った。 また、本研究課題に関する研究論文の成果としては、査読付き論文として、次の二本の論考を公開した。①岡倉天心のインドでの活動について日本では未公開の資料に基づき、その近代の仏教復興運動に関わる新たな側面に光を当てた論考を、『アジア・アフリカ言語文化研究』(92号)に掲載した。②これと関連する近代インドにおける宗教運動と英領インド政府の宗教政策との関わりを検証した論考を、『日本研究』(第53集)に掲載した。また、一般の読者に向けた啓蒙書(『名著で読む世界史100』山川出版社)に、タゴールについて紹介する論考を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、海外からの招待講演は5回を数え、インド・コルカタのアジア協会やデリー大学、シャンティニケトンの国立タゴール国際大学から招待され、また、バングラデシュからは国立ジャハンギルノゴル大学からの招待を受けるなど、このテーマに関して、当初、計画をしていた以上の海外での関心の高さがうかがえた。特に、タゴール研究の拠点であるシャンティニケトンや天心の活動の拠点となったコルカタでの研究者との交流は、本研究にも有益な知見を与えるものとなった。 また、日本でも、日印交流に関する歴史的な団体である日印サルボダヤ交流会や、日印協会の関連団体であるディスカバー・ィンディアクラブなどでの招待を受けることで、一般の読者を対象とした啓蒙書の出版も含めて、研究成果の社会への還元が進められた。 研究計画の直接的な成果である岡倉天心とインド知識人との交流については、2本の査読付き論文を公表することができ、これらの内容は、改めてひとつのテーマのもとに編集される予定である。 以上のように、本研究テーマに対する内外の関心の高さなどから、本計画は、当初の計画以上に進展させることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたように、本計画で予定していた研究成果は、特に当初の計画以上の内外からの招待講演の要請などを受けることで、一定の成果を上げることができたと総括することができる。 今後の本計画としては、引き続き、内外の要請や研究潮流の動向を踏まえつつ、その成果の発信を続けてゆくとともに、成果の体系化を進めることが計画されている。特に、これまでの複数の論考などの研究成果を取りまとめることで、研究報告書や出版物を通して、その成果を社会に還元してゆくことが計画されている。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究成果の報告の機会に恵まれた半面、現地でのフィールド調査や文書館での資料収集を行うための現地調査を十分に実施することができず、結果として、予定していた現地調査を翌年度に延期して実施することになったため、次年度の使用額が増える結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度について、インドやバングラデシュへの訪問を通して、現地調査、現地の文書館での資料収集、及び関係する現地研究者やインフォーマントへの聞き取りを行うことで、新たな現地調査の計画を実施する予定である。
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Research Products
(7 results)