2017 Fiscal Year Research-status Report
岡倉天心とタゴールの反響するアジアへのまなざし-植民地主義をめぐる日印の比較研究
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16K02602
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
外川 昌彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70325207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / ベンガル / タゴール / 岡倉天心 / スワーミー・ヴィヴェーカーナンダ / 文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、計画の第二年度として、資料収集や関連分野の研究者との情報交換のための学会や研究会での報告、及び成果の取りまとめに向けた論文執筆を行った。特に、本計画に関わる研究報告、及び関連領域の報告として、本年度は国内、及び海外での学会、研究会などで14回の報告を行った。そのうち、ベンガルで最も古い歴史を持つ仏教復興運動団体のベンガル仏教会125周年記念行事で招待講演を行い、Buddhist Revival Movements in Bengal by Dharmapala, Kripasharan Mahasthavir,and the Japanese(2017年8月5日)と題し報告を行った。その成果は、英文の単著の冊子として刊行された。また、ジャドプル大学で開催されたセミナー(International Seminar on Role of Bengal in the Revival of Buddhism)に参加し、The Buddhist Revival Movement by Aanagarika Dharmapala at Bodh-Gaya and the Japanese(2017年8月4日)と題し報告を行った。その成果の一部は「スワーミー・ヴィヴェーカーナンダにおける宗教とナショナリズム」と題する論文にまとめられ、『南アジア研究』(日本南アジア学会)の2017年度版に掲載が決まっている。また、シャンティニケトンのタゴール国際大学で、2016年8月に開催された国際シンポジウムで行った報告は、その後、論文集として編集された報告集に収められ2017年10月に刊行された。その他、本研究課題、及び関連領域にに関する成果として、バングラデシュで刊されるベンガル語の雑誌に論考を2本、シンポジウム報告のための予稿集原稿を2本、その他の関連する論考を4本、刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、インドのベンガル仏教会とコルカタのジャドプル大学からの招待講演、ダッカのジャハンギルノゴル大学での国際会議を2回、インドからの報告者を招いた京都の龍谷大学での国際会議を行うなど、本計画に関する多様な研究者との交流を行い、意見交換を行うことで、インド側の研究者との研究課題に関する情報の共有と知見を深めることができた。特に、タゴール研究の拠点であるシャンティニケトンで開催された国際シンポジウム(The International Conference on “Tagore and Japan & Various Aspects of Japan and Her Culture"Visva-Bharati University)やコルカタのベンガル仏教会の記念行事(Karmayogi Kripasaran Memorial Lecture Celebrating 125 year of a Golden Heritage)において、その成果を現地で出版できたことは、本計画の課題とも密接に結びつく研究者との交流を深める上でも、大きな成果となった。 本年度は、その他にも、アメリカのマディソン大学で開催された南アジア学会では関連領域について報告を行い、京都の龍谷大学や本務校の東京外大AA研の研究会などでも報告を行うことができた。 研究計画の直接的な成果としては、岡倉天心とインド知識人との交流については、2本の論文を査読付き雑誌に投稿中であるが、そのうち1本は掲載が決まっている。来年度に向けて、さらに2本の論考をまとめる予定である。以上のように、本年度は、内外での研究報告などの機会が多く得られたが、しかし、論考の編集という点では、なお計画の最終年度に残された課題も多いので、計画はおおむね順調に進展していると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたように、本計画で予定していた研究成果は、内外からの招待講演や国際会議の開催、国際学会での報告などを行う事で、当初の計画にそって、おおむね順調に進めることができ、一定の成果を上げることができたと判断される。 今後の本計画としては、引き続き、内外の要請や研究潮流の動向を踏まえつつ、その成果の発信を続けてゆくとともに、成果の体系化を進めることが、最終年度の課題として指摘されるだろう。特に、研究報告書や出版物を通して、その成果を内外の学会や研究者に公開し、また、これまでの複数の論考などの研究成果を取りまとめることで、社会に還元してゆくことが計画されている。 本年度は、インドでの招待講演やアリメカの学会での研究成果の報告の機会に恵まれたが、逆に、当初に予定していた現地でのフィールド調査や文書館での資料収集などの現地調査のための時間を十分にあてることができず、結果として、予定していた現地調査を最終年度に延期して実施することになった。そのため、本年度の経費の一部は基金として、次年度に使用することを予定している。 最終年度については、インドやバングラデシュへの訪問を通して、現地調査、現地の文書館での資料収集、及び関係する現地研究者やインフォーマントへの聞き取りを行うことで、報告書のとりまとめに向けた資料の体系化と、成果の公開の準備を進める計画である。また、それに合わせて、残された課題についての補足的な資料について、現地調査を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
本年度は、インドでの招待講演やアリメカの学会での研究成果の報告の機会に恵まれたが、逆に、論考の編集という点では、なお計画の最終年度に残された課題も多く、当初に予定していた現地でのフィールド調査や文書館での資料収集などの現地調査のための時間を十分にあてることができなかった、そのため、予定していた現地調査を最終年度に延期して実施することになった。結果として、本年度の経費の一部は基金として、次年度に使用する予定となったものである。 最終年度については、インドやバングラデシュへの訪問を通して、現地調査、現地の文書館での資料収集、及び関係する現地研究者やインフォーマントへの聞き取りを行うことで、報告書のとりまとめに向けた資料の体系化と、その出版の準備を行う計画である。また、それに合わせて、残された課題についての補足的な資料について、現地調査を実施する計画である。
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Research Products
(9 results)