2016 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮戦争期の韓国、在日朝鮮人社会、沖縄の文学者の動向についての比較研究
Project/Area Number |
16K02604
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
呉 世宗 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90588237)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮戦争 / ポストコロニアル / 植民地主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は韓国・延世大学で一年間の長期研修を行った。一年間の滞在中に、延世大学、ソウル大学、東国大学などのソウル市内の各大学図書館、国立中央図書館、韓国外交部の資料室等を訪れ、(1)朝鮮戦争期に韓国で出版された雑誌・新聞・作品集を幅広く収集・整理した。収集した資料として『文芸』『文化世界』『新天地』『戦線文学』『新天地』『女性界』『戦線文学』『文学芸術』といった雑誌、『ソウル新聞』『連合新聞』といった新聞を収集した。また朝鮮戦争期に朝鮮民主主義人民共和国で出版された雑誌の掲載された文学作品についても収集した。 (2)李光洙、林和、金東仁、蔡萬植といった韓国の代表的文学者たちの自伝や関連文献資料、また朝鮮戦争期に書かれた康信哉『戯画』、崔貞煕『愛の履歴』、黄順元『曲芸師』といった個人の作品、『戦時韓国文学選』『政訓文庫 短編小説集』『戦争と小説』といった作品集、および関連する評論や研究論文など朝鮮戦争期の文学者の動向について論じた資料を収集・整理した。収集した文献資料の整理を行った。 (3)収集した資料を用いて、朝鮮戦争期における文学者たちの振る舞いを、ポストコロニアルという状況での朝鮮戦争、すなわち植民地的/脱植民地的/冷戦体制的価値の相克という観点から、彼らの戦時期の動向を考察した。成果は、ソウル大学、高麗大学、延世大学、円光大学、済州大学等で開催された学会や研究会で報告した。またカナダ・トロントで開催されたAASでも報告を行い、成果を広く還元した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
延世大学で行った一年間の海外研修期間に、予定していた以上の資料を収集することができた。また多く与えられた報告の機会を利用し、他の研究者から今後研究を進めていくうえで有益なコメントを得ることができた。 収集した資料が多くなったため全て整理できていないが、継続して整理し批判的に検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた資料の整理を進め、これまで進めた研究成果をより一層深めていく。同時に2017年度は、朝鮮戦争期の沖縄での文学者および文学作品について資料を収集し、考察を進めていく。研究計画として、(a)『沖縄タイムス』『琉球新報』といった新聞資料、『琉大文学』『月刊タイムス』『沖縄ヘラルド』『沖縄思潮』といった雑誌、文学作品、そしてUSCAR の資料を幅広く収集・整理する。(b)戦後初期から活動している文学者、また『琉大文学』で登場する文学者などに関する文献資料を調査収集し整理する。(c)米軍の統治下にあった沖縄では、朝鮮戦争の時期に土地闘争や初期の復帰運動、そして米軍基地から爆撃機が飛び立っていることから戦争反対運動が起きているが、そのような中で文学者たちがいかに脱植民地的/冷戦的価値の相克に関わっていったのかを収集した資料をもとに考察する。 成果は学会や研究会などで積極的に報告し他の研究者との議論をしていくことで認識を深め、成果を社会に還元する。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 金時鐘の詩を読む2016
Author(s)
呉世宗
Organizer
スユノモN月例研究会
Place of Presentation
スユノモN(韓国・ソウル市)
Year and Date
2016-11-08 – 2016-11-08
Invited
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