2017 Fiscal Year Research-status Report
植民地期朝鮮のプロレタリア文学・文化運動と日本との関係研究
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16K02611
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植民地 / 朝鮮 / プロレタリア文学 / 林和 / 映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29(2017)年度は、植民地朝鮮のプロレタリア文学にとって大きな役割を果たしたカップ(KAPF、朝鮮プロレタリア芸術同盟)で書記長をつとめた林和(1908‐1953?)の文学世界を証明し、その基礎資料もあわせて作成した。また、あわせて、昨年度から繰り越しの課題であたった、植民地朝鮮のプロレタリア文学論争の評論選集の原稿を、翻訳協力者たちの助力を得て、完成直前までこぎ着けた(A4×800ページほど。年度末までに一次翻訳を終了。代表者・渡辺による推敲を残すのみ)。
調査旅行について、国内で行う予定だったものは、京都での資料調査のみで、朝鮮学会での学会発表は諸事情で行なえなかった。海外で行う予定だった研究打ち合わせや資料調査は、ワシントンDCでのAAS学会(2018.3)には参加できなかったが、その代わりにリスボンで行なわれたヨーロッパ日本学会(2017.8)に参加して、韓国やアメリカ、あるいはヨーロッパ地域で活動する関連の研究者らと研究の打ち合わせを行なうことができた。
平成30(2018)年度は予定通り、植民地朝鮮の映画事業に関する研究を行い、そのための基礎資料もあわせて作成する予定である。また、同年度に在外研究の機会を得て、韓国・ソウルに12月末まで滞在することになったので、韓国の研究者らとの打ち合わせを質量ともに充実したものにできるようになった。予定では今年度が最終年度のため、きちんとまとめられるように計画性をもって研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)前年度、ウェブアーカイブ化の関係で購入を見合わせていたアダン文庫の貴重資料の復刻本のうち、植民地大学関係、植民地映画関係の資料については、ウェブアーカイブ化が当分、行なわれないことがわかったので、これを購入することができた。 (2)同様に、前年度、執行できなかった翻訳謝金を、今年度分と合わせて執行して、結果物を得ることができた。 ーー以上の2点をクリアしたことで、初年度と今年度の予算執行の進捗を、ほぼ予定通りのものに合わせることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(平成30(2018)年度)は、本研究の最終年度にあたり、勤務校で在外研究の機会を得て、韓国・ソウルに12月末まで滞在することになったので、韓国の研究者らとの打ち合わせや資料調査など、研究の効率化が期待できるが、一方で、他の調査旅行などの予算執行が予定通りできるか、現在のところ未知数である。できるだけ予定通り、研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初の予定通りに執行できているが、翻訳のための謝金が若干予定額を下回った。次年度使用額は韓国での資料調査費の一部とする予定である。
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