2021 Fiscal Year Research-status Report
アジアの薬草メディスンマンにおける医療表象文化と神話・歌謡文学の発生理論の研究
Project/Area Number |
16K02615
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
毛利 美穂 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (70556026)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 瑞樹 関西大学, 教育開発支援センター, 研究員 (60773794) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 医療人文学 / 比較文学 / 医史学 / 薬学 / 生命科学 / ナノライフサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の実績は、主に次の3点である。(1)京都市等での薬学調査をふまえて、(2)人文学系アプローチから、医療人文学の方法論をまとめ、また、(3)医学・薬学・生物学・生命科学系アプローチから、医療人文学の方法論についていくつかの試論を挙げたことである。 (1)は、研究代表者の毛利の仮説の元、研究協力者の中尾と分担して実施した。(2)は、主に毛利が担当し、文学作品を解釈するための新たな研究アプローチとして、「文化的フレーム」という視点を提示した。「フレーム」とは、ある対象を理解するときに、理解するときのアプローチの仕方・考え方であり、「文化的フレーム」とは、人間の、文化的文脈上にのみ存在するフレームを指す。特に、「場」と「文化的フレーム」の関係についていくつか考察を加えた。この「文化的フレーム」の導入により、医学や史学、宗教学や人類学などの要素を含んだ、医療人文学的文学理論への構想を着実に推進する基盤を作り上げることができた。(3)は、主に研究協力者の中尾が担当し、医書の分析と並行して、(1)の調査を元に、医学や薬学の視点から、テキストと病症や医療的事象の関係について事例を蓄積することができた。 2021年度の特筆すべき点として、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き対外的な活動を自粛することになった。一方、研究方法を確立するに従い、調査の補完部分が明確となったことで、成果のまとめを次年度に行うことを決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者および研究協力者は、(1)本研究課題の調査研究実施のための基礎的研究、(2)「医療人文学」としての文学生成理論の構築に向けての仮説検討、(3)関連研究者とのネットワーク構築、情報交換に従事した。「医療人文学」の研究手法を確立することにより、補完が必要な調査が明確となったことは、まずまずの実績であった。 ただし、2020年度より研究を進めることはできたが、2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響によって、研究の進行が鈍化した。方法論の試論を重ねた結果、具体的な成果報告には不足要素もあり、今年度でまとめることは適切でないと判断した。そのため、「やや遅れている」とする評価が妥当であると考えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
成果をまとめるため、(1)調査の補完を行い、(2)「医療人文学」としての文学生成理論のまとめ、(2)関連研究者および海外研究機関、研究者とのネットワーク構築、情報交換に従事する。 世界的な情勢不安や新型コロナウイルス感染症の影響は続くが、次の3点について研究を進めていく。研究協力者と分担して、(1)補完が必要な文献および現地調査(オンラインを含む)を行い、(2)国際カンファレンスでの発表を含めた成果をまとめることに注力し、(3)文理融合の「医療人文学」発信、そして研究会の構築を目指す。調査においては、各国の状況および新型コロナウイルス感染症の流行による政府・自治体の方針に沿いながら手配を行い、成果の発表は、追加調査をふまえた上で、整理・分析をする。
|
Causes of Carryover |
2021年度は成果報告をまとめることを主軸とした研究計画を立てていたが、成果をまとめるにあたり、調査の補完が必要となった。ただし、2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響によって、計画・予定していた出張・研究発表が中止・延期となり、対外的な活動を自粛せざるを得なかった。また、研究協力者の業務量の増加に伴い、打ち合わせの頻度も減ったことで、適切な予算執行が難しいと判断した結果、次年度使用額が生じた。 2022年度は、世界的な情勢不安や新型コロナウイルス感染症などの影響を鑑み、追加調査においては研究協力者との分担をより明確にした研究計画を立てている。
|
Research Products
(5 results)