2019 Fiscal Year Annual Research Report
On the interaction of wh-elements and interrogative markers
Project/Area Number |
16K02620
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 さとみ お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60347127)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 意味論 / 統語論 / 束縛 / wh要素 / 疑問文 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には、疑問文を形成するプロソディの研究を行った。プロソディ、特にイントネーションは疑問文を表す重要なマーカーの一つであるが、中国語は、単語レベルで意味の弁別素性として声調を用いるため、イントネーションはあまり顕著ではない。それでも、疑問のマーカー(yes/no疑問文を表す文末助詞やwh要素)がない環境で、文末の上昇イントネーションが疑問文を表すこともある。今年度は、中国語の二つの選択疑問文、即ち、選択肢の一方を答えとして期待する疑問文と、選択肢のどちらかが真であるかどうかを問う選言疑問文を取り上げ、母国語話者から音声のデータをとり、プロソディの比較を行った。選択疑問文については、各選択肢がピッチの変化幅の拡大という特徴を持つことはすでに指摘されているため、選択疑問文と選言疑問文の第1選択肢についてピッチの変化幅を比べた。その結果、選択疑問文と選言疑問文には違いがないことがわかった。これは、英語の選択疑問文と選言疑問文が異なるプロソディ、即ち、前者は第一選択肢が上昇、文末が下降するプロソディを持ち、後者が文末の上昇するプロソディを持つことと対照的である。本研究では、さらに、中国語の選言疑問文のプロソディは、選言疑問文の容認度に影響を与えることを指摘した。(以上、Ito, S. 2019 “Prosodic property in alternative questions” Paper presented at IACL-27 at Kobe City University of Foreign Studies、及び、Ito, S. 2020“Prosodic influence on Chinese disjunctive questions”『人文科学研究』第16号, pp.53-66.)
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