2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02622
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安藤 智子 富山大学, 人文学部, 准教授 (00345547)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 東濃方言 / プロソディ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、岐阜県東濃地方西部のうち多治見方言を中心に、アクセントやイントネーション、リズムといったプロソディ上のの特徴を音声学的に整理するための取り組みをおこなっている。 これまでに整理したアクセントの特徴をもとに、今年度は、読み上げ音声では抽出することのできない自発音声のリズムを確認するため、調査と分析をおこなった。具体的には、一定のテーマで方言話者2組に会話してもらった音声を録音し、音響分析・計測した。 多治見方言は共通語と同様に、モーラを基準としたリズムを持つと考えられるが、今回の調査により、文中での位置によって拍の長さが変動することが明らかになった。具体的には次のとおりである。1)文や節の末尾では、共通語と同様に延伸することがあり、長さのばらつきが大きい。2)文や節の初めでは、1拍音節が語中の位置に比べておよそ1.4倍の長さをもつ。3)節の初めを除く語頭では、語中のおよそ1.3倍の長さとなるが、ばらつきが大きい。 このうち2)、3)は先行研究に見られる共通語の特徴と異なる点であり、イントネーション上の特徴と合わせて、東濃西部方言らしさを形成するプロソディの特徴であると考えられる。 こうした研究成果を、今年度、学術論文として発表した。さらに、老人会での講演・同地域のコミュニティラジオFMPiPiへの出演・前研究課題から継続している一般市民向けホームページやブログの更新により、地域への還元をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに収集したデータの量は十分ではないが、質の高いデータを得られているため、効率よく分析を行うことができ、リズムに関する調査としては目的を達成することができた。 さらに、これまでの研究の成果を学術論文だけでなく、老人会での講演・同地域のコミュニティラジオFMPiPiへの出演・前研究課題から継続している一般市民向けホームページやブログの更新により、地域への還元を進めることができた点が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、今年度の研究による結論を補強するべくデータを増やして分析するとともに、プロソディ上の特徴の核となると考えられるイントネーションの角度からも分析をすすめる。 そのために、多治見市を中心に一週間程度、会話音声の収集をおこない、データ整理の補助に謝金を支払うことで学生に作業を依頼する予定である。 最終的には調査結果を学術論文にまとめるとともに、公開講演会で一般向けの講演を行い、その内容を講演会関連の論文集に発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、購入物品の金額の見積もりが実際と異なったことと、購入予定の図書の発行が遅れたため。現有のノート型PCが故障し調査に使用することができなくなったため、次年度使用額に余裕が生じた分は、次年度の調査用PC購入に充てる。
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Research Products
(3 results)