2016 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ諸語における声調・アクセント体系のタイポロジー
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16K02625
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
梶 茂樹 京都産業大学, 共通教育推進機構, 教授 (10134751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アフリカ諸語 / 声調 / アクセント / タイポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の梶は、ウガンダ西部のバンツー系のニョロ語の現地調査を行った。ニョロ語にはテンス・アクペクト・ムードによる動詞活用形が多いが、そのほぼすべてを書き出すことに成功した。これはたんに動詞1個からなる単独形だけでなく、助動詞と本動詞の組み合わせによる活用形についてもほぼ網羅的に収集した。そして動詞活用形と声調との関係を考察した。 また、テンス・アクペクト・ムードによる活用形の1つ1つについて、非関係節形(基本形)、主語関係節形、目的語関係節形、時の条件節形、仮定の条件節形の5つの変化形があることを明らかにし、すべてのテンス・アクペクト・ムードを通して、時の条件節形と目的語関係節形とが形式的に(声調などによる)同じであることを明らかにした。またニョロ語の関係節は、英語などの関係節とは異なり、むしろ日本語の連体修飾に近いことを明らかにした。この点、英語などの関係節、条件節の異様さが目立つ。 さらに様々なテキストにおいてこれを検証するため、諺、タブー集、縁起の悪いことなどについてもデータを集めテキスト化し分析を行った。テキストについては、民話、人名などについて、すでに集めているので、これらをまとめて出版を考えている。 さらに、この地域のバンツー系言語で調査の残っていたキガ語の調査について段取りを整えた。キガ語はウガンダ南西部に話され、アンコレ語と近いが、今まで十分調査のできていなかった言語である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニョロ語インフォーマントと良好な関係を築き、現地調査が順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニョロ語の調査を継続すると同時に、キガ語の調査を新たに開始する。また、今までに得られたデータを総合的に考察し、この地域の言語の声調の歴史的変化を考察すると同時に、1言語内における声調の役割、とりわけ動詞活用と声調との関係を考察する。
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Causes of Carryover |
ニョロ語に加えてキガ語の調査を予定していたが、キガ語地域はニョロ語調査地から遠く、移動時間のロスを考えて、平成28年度は調査の段取りを整えるだけにし、調査自体は平成29年度に行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、既に段取りを整えてあるキガ語の現地調査を実行し、旅費として執行する。また、ニョロ語の調査も継続する。
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