2018 Fiscal Year Research-status Report
アフリカ諸語における声調・アクセント体系のタイポロジー
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16K02625
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
梶 茂樹 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (10134751)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 声調 / Kiga語 / バンツー系 / ウガンダ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、すでに収集してあるウガンダ西部に話されるNyoro語の動詞構造の分析を進め、とりわけ動詞活用と声調との関係を分析した。さらに2017年度に開始した南隣のKiga語の現地調査を精力的に進め、そのデータ収集と分析を行った。そして約1500項目からなる語彙調査票の全項目を終了した。現在、Kiga語語彙集作成のため、記述の見直しと索引作りを行っている。この語彙集は、単に単語とその意味を記載するだけでなく、音韻情報や統語情報など様々な文法的項目のデータを豊富に集めてある。さらには、挨拶表現や様々な慣用表現なども記載してある。Kiga語は一般的に隣のAnkore語と同じように見られることの多い言語であるが、その声調はAnkore語とはかなり異なることが明らかとなった。例えば、Kiga語では単独独立形では高声調が1音節にしか現れないが、Kiga語では2音節に現れる場合がある(1参照)。またAnkore語では基底の語末の-HL形と-LH形は表層単独形ではいずれも-HLとなり区別されないが、Kiga語では区別される(2参照)。 (2)においてAnkore語orurimiLLHL「舌」とKiga語orurimiLHLL「舌」は基底ではいずれも-LLHLであり、Ankore語amariraLLHL「哀悼」とKiga語amariraLLHL「涙」は基底ではいずれも-LLLHである。Kiga語においてはAnkore語より高声調の予期が激しいことが見て取れる。 (1)Kiga: egiritaLHHL, Ankore egiritaLHLL「カミソリ」 Kiga: ekishushungwaLLHHL, Ankore: ekishushungwaLLHLL「ふすま」 (2)Ankore: orurimiLLHL「舌」, amariraLLHL「哀悼」 Kiga: orurimiLHLL「舌」, amariraLLHL「涙」 動詞に関しては調査は端緒についたばかりであるが、活用要素の-ra-が現在を示すなどRwanda語と共通する部分があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Kiga語の調査は当初から2018年度に予定していたことであった。
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Strategy for Future Research Activity |
長年一緒に調査をしてきたNyoro語の主インフォーマントが死亡したので、Nyoro語の調査は一とん挫したが、データはすでに十分収集してあるので問題は生じない。2019年度はKiga語の動詞の変化と声調との関係を詰め、Kiga語、Ankore語、Tooro語、Nyoro語というウガンダ西部に話され鵜系統的に近い4言語の体系として違い、そしてその歴史的発展経緯を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
Nyoro語調査のインフォーマント役をお願いしていたKajura Sam氏が死亡したため、予定していたNyoro語の調査ができなかった。しかしながら、Nyoro語については十分調査を済ませているので、Nyoro語については補足的調査を行うにとどめ、調査は主としてデータの欠けているKiga語について行い、それにより、ウガンダ西部の代表的4言語、すなわち、Nyoro語、Tooro語、ankore語、Kiga語のバランスの取れた包括的比較研究を行う。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Nyoro (JE11)2019
Author(s)
Kaji, Shigeki
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Journal Title
Descriptive materials of morphosyntactic microvariation in Bantu
Volume: 1
Pages: 308-331
Open Access
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