2019 Fiscal Year Annual Research Report
Cognitive Linguistic Research on Grammaticalization of
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16K02634
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山崎 雅人 大阪市立大学, 英語教育開発センター, 教授 (00241498)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知言語学 / アジア諸言語 / 文法化 / 視覚動詞 / 試行マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画最終年度は、前年のベトナム語研究と同様に東南アジア領域の言語を対象とする方向性を継続して、タイ語を研究した。この二言語は、共にインドシナ半島にある国家言語として優勢な立場にあるだけでなく、統語構造上も中国語と同じく孤立語という点でも共通性が高い。これら二言語の研究に、本研究三年目に行った中国語の研究成果を加えることで、孤立語的統語構造における視覚動詞の試行マーカー用法文法化を、それ以前に対象とした膠着語的統語構造のアルタイ諸語と朝鮮語・日本語の研究と比較することにより、文法化と統語構造を関連づける視点から本研究を推進することが今年度において可能になった。2019年7月に日本タイ学会(日本女子大学)で研究発表「タイ語の視覚動詞の試行相文法化の展開」を行い、斯学の専門家とのディスカッションを通じて、考察を深めることができ、また発表資料の作成にあたり、アジア図書館でのタイ語母語話者によるデータのネイティブチェックと、日向俊介氏(大阪大学)とタイ出身の同氏夫人の協力を得て、タイ語と日本語のデータのネイティブチェックを行った。その結果を、2020年7月刊行の『年報タイ研究』誌への投稿を準備する段階に至った。本稿の作成過程で、本研究計画における、認知言語学的方法論の適用範囲を、統語構造的特徴に関連付けて研究する視点を得ることができた。特に、認知言語学を包括する、上位的方法論としての機能主義言語学の観点を取る方向性を得ることができた。 また、2018年6月の日本言語学会第156回大会で行った研究発表「ベトナム語の視覚動詞試行相文法化の展開」での質疑応答を経て、同名の論文を『言語情報学研究』第16号で発表した。 さらに、本研究二年目に行った中国語の視覚動詞「看」の試行マーカー文法化の研究を上の観点から理論的に組み替え、今年の日本認知言語学会第21回全国大会での研究発表に応募した。
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Research Products
(2 results)