2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Universality and Relativity in Taste Vocabulary
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16K02636
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武藤 彩加 中部大学, 人文学部, 教授 (00412809)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言語普遍性 / 相対性 / 生理学的普遍 / 生理的動機づけ / 環境的動機づけ / 認知的動機づけ / 味覚 / 共感覚的比喩 |
Outline of Annual Research Achievements |
言語により様々に異なるとされる味覚語彙について「味覚語彙は恣意的に分割されているのではなく複数の言語に共通した法則性がある」という仮説を立て検証してきた。まずアジアの3言語(タイ語と韓国語、中国語)に関する調査結果を以下にまとめる。1.カテゴリ別でみると、3言語とも硬軟表現がもっとも多く使用された。2.ついで甘味が多く使用されたという点も3言語に共通して認められた。3.芳香と粘性も3言語とも多く使用された。4.表現別でみると、使用された回数上位10表現において、甘味や芳香の表現が3言語とも多く使用された。すなわち硬軟と甘味が突出して多く芳香と粘性の表現も多いという点が、アジアの3言語に共通してみとめられる特徴である。一方、非アジアの言語には、アジアの言語とは異なる共通点が認められた。すなわち「一般評価」と「素材特性」が飛び抜けて多く使用されるという点である。一方で、アジアの言語で飛び抜けて多く使用された芳香と粘性の表現は、英語とスウェーデン語においてはあまり使用されず、硬軟については英語には一定数みられるものの、スウェーデン語においてはほとんど使用されなかった。次に5言語全体の結果をまとめる。まず普遍性については、5つの言語の母語話者による味を表す表現は、おおむね従来の「味ことば分類表」によって分類が可能である。従ってそこには5言語にある種の共通する規則性が認められる。その一方で、表現の分布と広がりには言語ごとに異なる多様性も同時に認められる。以上から、味を表す表現には人間の生理学的普遍に基づく共通性が存在する可能性があるのと同時に、表現の分布と偏りには環境などの要素や食生活、文化的背景等の差異が直接的に反映される可能性も示唆される。 以上、本研究では、言語と非言語的な領域との関連性(環境的動機付け、生理的動機付け、認知的動機付け)についても検証し、その一端を明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Book] おいしい味の表現術2022
Author(s)
瀬戸 賢一、味ことば研究ラボラトリー
Total Pages
272
Publisher
集英社インターナショナル
ISBN
978-4-7976-8095-9
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