2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02643
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西口 純代 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (10571797)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケニア / ジブチ / エチオピア / ダセナッチ語 / ソマリ語 / ブルジ語 / アファール語 / データ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年8月から9月にかけて、エチオピア経由でケニアとジブチに渡航した。ケニアのダセナッチ語とブルジ語の母語話者を訪ねてミーティングを重ね、新規のデータを集めつつ、正確に修正してもらう作業を行った。その後ジブチを訪れてソマリ語とアファール語のデータを採集し、修正した。各言語の単文と埋め込み文における指標表現―I, you, here, there, today, yesterdayなどーを調べ、それぞれ一人称、二人称、その場所、日付以外を指すかどうかを調べた。ダセナッチ語のindexicalsは埋め込み文内で指示対象が変化するので、Kaplan (1977)の理論に対する反例となることがわかっており、ソマリ語、ブルジ語においても同様である。またもう一つの課題である否定表現と文脈についての研究も進展しており、ダセナッチ語の否定肯定極性項目の認可環境のデータを集め、分析を行い、アメリカのアフリカ言語学会で発表することができた。 今年度は査読つきジャーナルに投稿する論文のため、データの拡充に務めた。論文の下書きのデータを母語話者にチェックしてもらった。またダセナッチ語の文脈に関する論文が書籍の一章として出版された。 平成28年度に始めた、周辺言語であるブルジ語のデータ収集を継続した結果、指標と文脈に関する論文を学会で発表した。ブルジ語に関する文献は私の知る限りほとんどない。少数言語のデータを記録し、理論的分析を試みたことは価値があると思う。ソマリ語に関する研究をもっと深める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ケニアとジブチに渡航し、インフォーマントの協力を得て、ダセナッチ語、ソマリ語のデータを収集した。また周辺言語のブルジ語、アファール語のデータも収集した。文脈と指標に関する研究成果がダセナッチ語を中心に出ている。ダセナッチ語の否定表現に関する口頭発表を行った。ダセナッチ語の否定表現にフォーカスが加わると、反対に肯定の意味を持つが、ソマリ語における同様のデータはまだ出ていない。ケニアにおける当初の研究協力者とは会うのが難しくなったが、他の研究協力者が協力してくれている。ただ今年度初めてお願いしたインフォーマントがセッションのための交通費を実際より高く請求してきたため支払っていない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はケニアとジブチでの滞在期間を長くし、母語話者ともっと時間をかけて徹底的にデータを収集する。諸言語の習得に努める。ソマリ語の研究成果をもっと出す必要がある。アファール語の論文を出版する。 またダセナッチ語の否定表現にフォーカスが加わると、反対に肯定の意味を持つが、ソマリ語におけるそのような例はまだ見つかっていない。
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Causes of Carryover |
今年度の物品費の支出が予定を下回ったため、次年度使用額が生じた。次年度の「その他」支出で使用する計画である。
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