2016 Fiscal Year Research-status Report
自然言語における名詞の分解-名詞の最小構成単位と類別システムとその普遍性の解明-
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16K02645
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
平岩 健 明治学院大学, 文学部, 准教授 (10572737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語理論 / 統語論 / 名詞構造 / 名詞クラス / 不定代名詞 / 不定語 / 数 / ラベル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は名詞クラス (noun class) システム、性 (gender) システム、類別詞 (classifier) システムの3システムの中でも名詞クラスシステムの記述研究を行った。まずGur諸語の一つであるBuli語の名詞クラスシステムと名詞クラス代名詞の記述的研究を遂行した。この研究の一部分は5つのGur諸語の話者である5名の言語学者と共に国際学術誌Glossaに共著論文として出版受理された。 また一方で、日本語の名詞クラスシステムが不定語システムに限り観察されることから、不定語から不定代名詞が生成される統語・形態プロセスの詳細な研究を行った。この研究では日本語の不定代名詞がすべて不定語の根要素 (da-, nani, do, do-等) と名詞クラスを表す要素 (-re, -ko, -ti) 、及びQ要素 (mo, ka) から成り立っていることを明らかにした。これら不定語の根要素のうち、naniは名詞クラスを表す要素を伴わない点で他とは一線を画すが、naniに名詞的用法が欠落していることは決して偶然ではなく、ラベル付け理論により原理的説明が与えられることを明らかにした。この研究はNELS47で発表を行い、proceedingsに掲載予定である。 最後に、上記と関連する形でヒトの言語における数を表す名詞(数詞)の構造の研究を行った。数詞は非常に多くの自然言語において等位接続による加算構造を持つことを示し、それらは通常考えられているような原始回帰関数 (successor function) のような構造を直接表示するものではなく、他の動物に共通する二つの数認知システムを併合操作により統合したシステムとなっていることを明らかにした。この研究は国際学術誌 Frontiers in Psychologyに出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Buliの名詞内部句構造、日本語の不定語の内部構造の研究、共に概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りで研究課題の推進方策に変更はないが、新たな方向性として日本語の不定語の統語構造と音韻構造の相関性に関する国際共同研究を行っていくことになった。
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Causes of Carryover |
予定していたGur諸語およびBantu諸語の研究に謝金が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
不定語の統語論とプロソディーに関わる国際共同研究の旅費の一部として使用予定。
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Research Products
(10 results)