2018 Fiscal Year Research-status Report
自然言語における名詞の分解-名詞の最小構成単位と類別システムとその普遍性の解明-
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16K02645
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
平岩 健 明治学院大学, 文学部, 教授 (10572737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 否定極性表現 / 不定語 / 文法数 / 統語論 / プロソディー / 日本語 / 琉球語 / Kabiye語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度の沖縄語那覇方言の不定語の基本統語構造の研究成果に基づき、日本語と沖縄語那覇方言およびKabiye語の否定極性表現と不定語表現の文法数の比較対照研究を行なった。 8月にはトーゴ大学教授のKomlan Essizewa氏を招聘し、約2週間に渡りKabiye語の名詞クラスシステムと否定極性表現の共同研究を行なった。特に否定極性表現等の不定代名詞の統語的分布と意味解釈を詳細に記述し、内部構造を明らかした。研究成果は来年以降、国際学会で発表予定である。 9月にはルンド大学石原慎一郎教授と日本語の不定語のプロソディーに関する共同研究を行い、10月から1月にかけて関東出身の日本語話者約30名の協力のもと、録音実験を行なった。未発表のため内容の詳細は差し控えるが、録音データの整理・分析は現在もまだ進行中である。 10月にはMITで開催されたWAFL14で沖縄語那覇方言における否定極性表現に関して研究発表を行なった。沖縄語那覇方言の否定極性表現は日本語とは異なり、否定一致表現と否定極性表現の両方の性質を兼ね備えていることを明らかにした。本研究内容は大会プロシーディングズに掲載予定である。 1月にはNYCで開催された第93回アメリカ言語学会年次大会において、日本語の不定表現の文法数に関して研究発表を行なった。従来、日本語は文法数の区別がない言語とされてきたが、本研究では疑問詞を除く不定語が単数の指定を持っていることを明らかにした。その内容は大会プロシーディングズに出版された。 3月には沖縄語那覇方言における存在量化表現と選言表現および疑問表現のデータ収集と記述を行なった。また本研究課題で研究を進めて来た日本語の不定表現と形容詞の統語構造に関する論考が12月に国際ジャーナル誌Glossaに出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語の不定語の内部構造の研究および琉球語(沖縄語那覇方言)とGur諸語の不定語/不定代名詞との比較対照研究、共に概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りで研究課題の推進方策に変更はなく、引き続き日本語、沖縄語、Gur諸語との比較対照研究を行いながら、研究成果を出版していく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年10月に行ったWAFL14での学会発表の旅費として精算予定である。
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Research Products
(6 results)