2018 Fiscal Year Research-status Report
大阪方言におけるピッチアクセント型の変化 - 語と句の音韻・統語分析
Project/Area Number |
16K02648
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉田 優子 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (70288603)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 大阪方言 / ピッチ・アクセント / 音節構造 / 撥音 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪方言をはじめとする関西方言では、共通語には見られないような現象、すなわちピッチアクセントが語彙的に撥音に起こるのは、音響的にも母音の/u/とよく似た分析がされることが分かった。また、関西方言の撥音ではアクセントピークの検出もpraat分析でできることも分かった。共通語ではそのようなフォルマントの分析は見られない。これをエレメントセオリーの立場からUエレメントの主部性があるかないかの違いで起こることを提案、Uエレメントに主部性がある関西方言の撥音/N/はその拍が語彙のアクセントを持ちうる、すなわち、語の領域の主部となりうること、逆に主部性のない撥音を持つ共通語では/N/には語彙アクセントはない、すなわちその語の領域の主部にはなりえないことが分かった。 この調査結果を5月にManchester Phonology Meetingで発表し、関西言語学会の招聘として発表し、近日KLS Selected Papers No.1に研究論文として掲載されることとなっている。 2018年にはニースでのPhonological Theory Agora に出席し、貴重な意見交換や他言語における音韻現象との、比較をすることができ、さらなる研究を進める準備ができたので、これから更に統率音韻論における韻律分析を進め、理論の発展にも寄与できるモデルを考案中である。
なお、現在、2020年の3月に統率音韻論中心に音節構造、認可関係についての研究会を京都で開催できるように調整中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
親の介護への支援が様々な方向で得られるようになったことで、前年度より研究が進み、論文としてまとめることもできたため、計画に近づいて来ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
大阪方言についての研究を進めてきているわけだが、学会などで東京方言との比較を明確にしたほうが良いという指摘もいただき、少し東京話者のデータを録音しておきたいと思う。したがって、更なる大阪方言の研究に加え、今までの同じデータを東京話者を集めて録音、分析したいと思う。理論的な考察をさらに深め、統率音韻論の韻律分析を確立させたい。
|
Causes of Carryover |
国際研究会の開催が2020年3月の予定であるため。 現在計画中の研究会を開催するのに海外よりゲストスピーカーを呼ぶ予定である。
|