2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02649
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
落合 淳思 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20449531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信弥 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 研究員 (10768162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 漢字の字形 / 漢字の字源 / 漢字の機能化 / 甲骨文字 / 金文 / 篆書 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、後述するように研究計画の一部を変更した。『近刊甲骨文字索引』の編集作業については、対象のうち7割程度について字形のチェック作業を終えた。具体的には、『瑞典斯徳哥爾摩遠東古物博物館藏甲骨文字』『殷墟花園荘東地甲骨』『殷墟甲骨輯佚』『殷墟小屯村中村南甲骨』『東京大学東洋文化研究所蔵甲骨文字』『天理大学附属天理参考館甲骨文字』『甲骨綴合集』『同続集』『甲骨ヘイ合集』『同続集』『北京大學珍藏甲骨文字』のすべて、および『甲骨文合集補編』の半分程度である。近刊の甲骨文字拓本については、まとまった形で索引が出版されておらず、古代漢字研究や中国古代史研究において、有用な工具書となるはずである。なお、このデータについては、完成次第、紙媒体の出版にさきがけてWEB上で更新する予定である。(落合が担当) また、約1,000字の教育漢字について、各時代(殷・西周・東周・秦・隷書・楷書)の字形を抽出し、フォント化する作業については、予定よりも数か月の遅れがあるが、28年度内に約半数を完了した。具体的には、1年生配当漢字(80字)、2年生配当漢字(160字)、三年生配当漢字(200字)、および4年生配当漢字のうち約80字である。この作業は、漢字の機能化の過程を明らかにするとともに、漢字の構造的変化や字源についても明確な論拠を提示するものであり、近年、停滞した状況にある古代漢字の研究を活気づけるものになるだろう。(落合・佐藤が担当)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究計画を一部変更し、最終年度に予定していた『近刊甲骨文字索引』の編集作業を開始した。やや難航している部分もあるが、年度末までに、近刊の甲骨文字拓本のうち7割程度について字形のチェック作業を終えた。(落合が担当) また、字形の抽出・フォントの製作も開始しているが、前記の『近刊甲骨文字索引』の編集作業の開始により、予定よりも数か月の遅れがある。(落合・佐藤が担当)
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Strategy for Future Research Activity |
『近刊甲骨文字索引』については、平成29年度に字形チェック作業を終了し、かつ編集・出版を完了する予定である。(落合が担当) また、字形の抽出・フォントの製作についても、29年度に完成する予定である。 教育漢字について、各時代の字形を抽出し、具象的表現(視覚的表現)と抽象的表現(意味的または聴覚的表現)の比率を統計的に調査するという作業についても、やや遅れる可能性が高いが、29年度内に論文の執筆・発表をおこなう予定である。また、29年度には古代漢字の部首の変遷についても論文執筆をおこなう予定である。そして、30年度には辞典の形式で漢字の字形・字源をまとめたものを発表する予定である。(以上、落合・佐藤が担当)
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Causes of Carryover |
『近刊甲骨文字索引』のデータベースのチェック作業と編集作業について、および古代漢字の字形抽出・フォント化作業について、年度後期におけるアルバイト雇用が予定よりも大幅に少なくなったため、多額の予算の繰り越しが発生した。また古書購入等により、物品費を低く抑えることが出来たことも一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度については、予定通りに『近刊甲骨文字索引』を年度を繰り上げて編集・出版し、また古代漢字の字形抽出・フォント化作業についてもこれまでと同様に進める。そのため、早急にアルバイト雇用を確保する予定である。
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