2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02649
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
落合 淳思 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20449531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信弥 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 研究員 (10768162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 漢字の字形史 / 漢字の字源 / 漢字の機能変化 / 甲骨文字 / 金文 / 篆書 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、字源・字形史を述べる『漢字形史字典(仮題)』の出版に向け、1000字あまりの教育漢字の全てについて、殷代から現代に至るまでの各時代(殷・西周・東周・秦・隷書・楷書)の字形抽出を完了させた。また各々の字形のフォント化、および字典の執筆も進めており、平成30年度末の刊行予定である。本書はこれまで実現が難しかった多様な漢字の字形史を復元するものであり、当該分野に大きく貢献することが期待できる。また、字形史の復元作業は、漢字の機能の歴史的変化を明らかにするための情報ともなるものであり、すでにそれを元にして論文として執筆し、投稿中である。なお、漢字の機能の歴史的変化については、字数の超過によって理論部分と統計部分を分ける必要が生じており、統計部分は平成30年度に執筆・発表する予定である。(以上、落合・佐藤が担当) また、甲骨文字の同片関係を集成した工具書である『十五種甲骨集同片綴合表』の編集を完了した。これは主要15種の甲骨拓本集について、同一片や綴合片を抽出したものであり、これまで重複していたり、同一片が分解していたものを整理し、甲骨文字の統計的研究や、さらなる綴合研究などを支援することができる。なお、当初は15種の全てを索引化する予定であったが、予算と日程の都合により、これについてはweb上で利用できる形態に限定した(URL:http://koukotsu.sakura.ne.jp/top.html)。(以上、落合が担当)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『漢字形史字典(仮題)』の編集作業は、おおむね順調にすすんでおり、前述のように平成30年度末の刊行予定である。ただし、フォント製作のみ、予定よりも若干の遅れが生じており、字典の執筆と平行して進める。また、漢字の機能の歴史的変化について、理論部分は執筆が完了しており、前述のように統計部分は平成30年度の執筆予定である。(落合・佐藤が担当) また、予定とは形態が異なったが、『十五種甲骨集同片綴合表』の編集とweb上における甲骨文字データの公開も完了した。(落合が担当)
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は研究計画の最終年度となる。『漢字形史字典(仮題)』の年度末刊行に向け、執筆およびフォント製作を進める。また、合わせて漢字機能の歴史的変化についての統計調査もおこない、論文として発表する。さらに、前述字典については専門性が高いので、一般向けの書籍として実例の一部を分かりやすく解説したものも出版することを計画している。(落合・佐藤が担当)
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Causes of Carryover |
(理由)各時代の字形のフォント化に若干の遅れが生じており、そのためのアルバイト雇用経費が次年度への繰り越しになったものが中心である。 (使用計画)平成30年度に一部のフォント化作業を持ち越したため、その分のアルバイト雇用経費として使用する。
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