2017 Fiscal Year Research-status Report
地理情報システムによる世界諸言語の比較表現の言語類型地理論的研究
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16K02653
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山本 秀樹 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (20200834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語学 / 言語類型(地理)論 / 地理情報システム / 世界言語地図 / 比較表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の科研費によって地理情報システムによるデジタル世界言語地図を作製したが、本研究課題を開始する段階で組み込まれたデータは、約3,000言語に関する種々の語順特徴やその整合性の度合い、約1,800言語に関する格標示のデータであった。地理情報システムによるデジタル世界言語地図を利用する一つの利点は、各言語に複数の属性データを入力することによって、種々の言語特徴に関し、それらを組み合わせて様々な検索、表示、分析をすることが可能になることである。 そこで、本研究課題の目的は、それまでの語順、格標示に加えて、しばしばそれらと相関性を見せる比較表現について、可能な限り多くの言語からデータを抽出し、世界最大規模の比較構文のデータベースを構築することである。さらに、それらのデータを地理情報システムによるデジタル世界言語地図に組み込むことで、迅速かつ詳細に様々な検索、表示、分析を行うことを可能にすることが、もう一つの目的である。 本研究課題では、世界諸言語から各個別言語における最も基本的な比較表現に関するデータを認定、収集していく作業が、最も多くの時間および労力を要する重大な作業となる。そこで、今年度は、昨年度に引き続き、以前の語順や格標示研究の課程で集めてきた諸言語の記述書、研究書を中心に、世界諸言語の比較表現のデータを抽出、収集を行った。また、これまで入手できなかった諸言語の記述書や研究書を購入し、現有の資料の充実を図りつつ、諸言語のデータを抽出していった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度から27年度までの科研費による研究課題があったが、その地図表現を担当していた業者が最終年度に業務停止となったため、延長申請により当該研究が28年度まで及ぶこととなった。そのため、28年度は、その研究の最終年度と実質的に重なったため、本研究の比較表現に関するデータ収集が、やや遅れ気味であったが、29年度はその遅れをほぼ取り返すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記した延長による科研費の研究は、28年度末までに無事完了することができた。そのため、29年度から、やや遅れ気味であった本研究に、集中的に時間を割くことが可能になり、比較表現に関する必要なデータは相当程度収集できたと考えられる。そこで、今後は、引き続き、さらに多くの言語から比較表現に関するデータを抽出、収集し、データベースを作成して、地理情報システムによるデジタル世界言語地図によってそれらの地図表現を行い、分析結果を報告書にまとめる計画である。
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Causes of Carryover |
最終年度にあたる30年度は、引き続きデータを充実させつつ、最終的に比較表現に関する地図表現やカラー地図を含む報告書の作成、印刷を行う計画である。地図表現の種類や、カラー地図の数、報告書の頁数によっては、予算が当初の計画よりも余計にかかる可能性もあるため、次年度使用額をある程度残した。次年度は、地図表現や報告書にかかる予算を見据えつつ、引き続き資料の収集も行う計画である。
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