2016 Fiscal Year Research-status Report
ミャオ語系諸語文法の記述言語学的・歴史言語学的研究
Project/Area Number |
16K02655
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田口 善久 千葉大学, 文学部, 教授 (10291303)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ミャオ語文法 / 比較文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミャオ語系諸語の文法比較を行うため、今年度は、データの収集と重点的な項目における分析を行った。 (1)Lan Hmyo(羅泊河ミャオ語)の文法記述:これは中国貴州省民族研究所の姫安龍研究員の協力のもと、貴州省開陽県にて継続している記述作業である。今年も2016年9月と2017年3月に同県においてコンサルタントにインタビューを行いデータを収集した。これは、主としてレファランス文法の作成と、テキストデータの収集からなる。 (2)ミャオ語系諸語における直示移動動詞の記述:これは、ミャオ語系諸語がもつ2つの意義特徴(直示的特徴とhome positionについての特徴)による直示移動動詞の対立について、その動詞の用法を詳細に記述し、祖語における状態の再建と、意義の発展について方向性を探ることを目的としている。中国貴州省民族研究所の姫安龍研究員の協力を得て記述研究を行った。記述対象は、Lan Hmyo(羅泊河ミャオ語)及びHmu(黔東ミャオ語)である。これにより、この両方の言語が、接近移動についてはhome positionの形式上の対立を持つが、離脱移動については対立がないことがわかった。また、Hmuについては、接近と離脱の動詞が複合したとみられる形式が存在していることが分かった。 (3)Lan Hmyo(羅泊河ミャオ語)の人称詞についての研究。当該言語の人称詞について記述し、他のミャオ語系言語の状況と比較することで、当該言語の人称詞の変遷を再現することが可能であることを示した。これにより、当該言語は、人称と数の融合的な標示方法からきわめて分析的な方向へ変化していることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者本人が行う記述作業は順調に進行している。また、中国貴州省民族研究所の姫安龍研究員の協力を継続的に得られているほか、今後貴州民族大学の呉秀菊氏の協力が得られることとなった。これにより、ミャオ語系言語のひとつであるXongについてのデータが収集できることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)研究課題としての文法項目について着実に進めていくこと。人称詞、直示移動動詞、関係節のほか、類別詞についての比較も行う予定である。 (2)外群としてのミエン語については、中央民族大学の鄧方貴教授に継続的に協力をお願いして同系言語の状況についてのデータも収集する予定である。
|
Causes of Carryover |
物品としてコンピュータを一台購入予定であったが、今年度に関しては他のものを使用することが可能であったため、購入を次年度に延期した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りコンピュータを一台購入予定である。
|
Research Products
(1 results)