2017 Fiscal Year Research-status Report
ミャオ語系諸語文法の記述言語学的・歴史言語学的研究
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16K02655
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田口 善久 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (10291303)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 類別詞 / 直示動詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大きく分けて2つの研究を行った。ひとつは、類別詞の研究であり、もうひとつは直示動詞の研究である。類別詞については、研究対象言語の一つであるフメー語(Lan Hmyo)について詳細な記述を行った。その結果、この言語の類別詞は、(1)数詞と指示詞のホストとして機能する自立的成分で、名詞とは異なった事物のあり方を記述するものであること、(2)いわゆる数量類別詞(numeral classifier)言語に典型的に見られる、1次元・2次元・3次元の類別を行うこと、(3)数詞とは共起せず、漠然とした複数を表す類別詞(非個別化類別詞)が3種類あり、その中には定の指示を行うものがあること、がわかった。この内容については論文を発表した。次に、直示動詞については、まず、祖語における直示動詞の語彙的再建を行い、祖語においては4つの直示動詞があり、andativeとvenetiveのそれぞれに、home positionという概念で規定される対立があったのではないかと考えた。この内容については、学会で発表した(SEALS27)。海外共同研究者と共同研究を行い、以下のようなことがわかった。(1)フムー語(Hmu), フメー語、ション語(Xong)のいずれにおいても、祖語におけるandative動詞におけるhome positionについての対立を失っていること、(2)それにもかかわらず、フムー語においては、新たにvenetive動詞とandative動詞の組み合わせによって、祖語におけるhome positionについての対立を保持していること。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね順調ではあるが、海外共同研究研究者のうち、本来予定したション語の研究者については、直接会って共同研究をおこなうことができていない。その後、別に協力者を紹介してもらい、現在その方と連絡を取っている。この点がやや遅れているとする理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も予定とするミャオ語の文法的記述を進めていく。特筆すべきこととしては、【現在までの進捗状況】で述べたように、新たに連絡を取っている海外共同研究者(貴州民族大学の研究者)と直接面会して研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本来予定していた、調査出張(中国広西チワン族自治区)が先方との連絡の問題もあり、執り行わなかったため。今年度執行する予定である。
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