2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Descriptive and Historical Study of the Hmongic Languages
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16K02655
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田口 善久 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (10291303)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミャオ語 / 直示動詞 / TAKE動詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、大きく分けて2つの研究を行った。 (1)昨年度からの継続である直示動詞の研究については、海外共同研究者と共同研究を行い、新たに以下のようなことがわかった。(1)フムー語(Hmu), フメー語(Hmyo)においては見られる[home](home position)についての対立が、ション語(Xong)においては見られないこと、(2)ション語においては、経路動詞「戻る」が直示動詞との融合によって直示動詞化しており、「戻る」経路義の包入のあるなしで、直示動詞に4項が成立していること(以上の2点については、国際学会SEALS29にて発表した)(3)フムー語、フメー語における[home]対立の包入された2つの直示動詞(フムー語においてはvenitiveとnon-venitive、フメー語においてはvenitive)には、[home]の関与しない場合があり、その場合には、[-home]の動詞には「(心理的)距離がある」とでもいうべき意義があること、(4)フメー語のvenitive動詞は、Fillmore(1997)の英語動詞comeの選択基準のすべての場合に使用できること(類型的に英語と同様の振舞を示すこと)((3)と(4)のフメー語については、Taguchi (Forthcoming)で論文にまとめた)。 (2)今年度は、TAKE動詞の文法化について研究を行った。フメー語には多様な用法を持つ?miA(?は声門閉鎖音)という動詞があり、単独の用法としては「与える」というGIVE動詞である。この研究では、他のミャオ語との比較からこの動詞の原義をTAKEと仮定し、そこからフメー語の多様な用法への発展を研究した。その結果、2項動詞TAKEと共起する第3の項の導入の仕方によって、GIVEやPUT義の構文が派生したというシナリオを提案した(この成果の一部は、TAGUCHI 2019に発表した)。
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Research Products
(3 results)