2016 Fiscal Year Research-status Report
バリ語山地方言の会話コーパスと語彙データベースの構築
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16K02673
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 真由子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (20389563)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会言語学 / バリ語 / インドネシア語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インドネシア共和国バリ州におけるバリ語山地方言社会の特徴をふまえた組織的な会話コーパスを構築した上で、言語外の要素と言語構造、言語使用の相互作用を自然会話に基づき考察し、またバリ語山地方言に影響を与えるバリ語標準方言であるバリ語平地方言と国語インドネシア語の混在の傾向と分布を考察することである。そして、会話や談話に現れる語彙を収集済みの山地方言基礎語彙に追加し、山地方言に特徴的な文化語彙を含む、そして言語外の要素と言語の関係およびコード混在や借用などの社会言語学的変化に関する情報を盛り込んだ、山地方言語彙データベースを編纂することを目指している。 今年度は、平成28年9月に約2週間、平成29年2月に約10日間現地調査を実施した。バリ語山地方言地域であるインドネシア共和国バリ州ブレレン県プダワ村において、現地の昔話、宗教儀礼にかかわる語り、儀礼における口上、その際に行われた会話を収集し、そしてそこに現れる語彙を収集した。また、同じくバリ語山地方言使用地域である隣村のシドタパ村を訪問し、村の概要、プダワ村との違いや共通点などについて、今後の調査研究の可能性を知るために情報収集をおこなった。 さらに、バリ語平地方言地域で収集した、インドネシア語が優勢である自然会話に基づき、バリ語とインドネシア語のコード混在がどのような要素に起こりやすいか、そしてそれはなぜなのかを検討し、論文として発表した。この内容は、今後バリ語山地方言とインドネシア語のコード混在の現象にも適用できるのかどうか考える必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中心の作業となるバリ語山地方言の語彙の収集・記録は計画通り継続しており、平成28年度中に宗教儀礼などの口上ややりとりなどで現れた文化語彙もそれに加えることができた。バリ語山地方言会話に見られるバリ語とインドネシア語のコード混在現象についての考察がまだあまり進んでいないが、研究全体についてはおおむね順調に進んでいると言える。遅れている部分については、これまですでに収集済みの会話をもとに、バリ語平地方言会話に見られるバリ語とインドネシア語のコード混在について提案した仮説がバリ語山地方言会話においても適用できるかを検証したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの蓄積のもと、年に1回か2回の現地調査によって、バリ語山地方言の語彙、特に文化語彙の収集と記録、および会話の収集と記録を行いつつ、山地方言地域特有の宗教儀礼、生活慣習などの観察と考察を継続して行う予定である。バリ語山地方言会話に見られるバリ語とインドネシア語のコード混在現象についての考察について、やや遅れがあるが、進めていきたい。
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Research Products
(3 results)