2021 Fiscal Year Research-status Report
実証的データに基づくユカギール語の通時的研究の開拓
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16K02675
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 教授 (20203672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユカギール語 / 通時的研究 / 電子コーパス / 接語の歴史的発達 / 通時統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
帝政ロシア時代の民族学者ヨヘリソン(Waldemar Jochelson)による19世紀末から20世紀初頭にかけてのユカギール語の記録、およびそれに関係する資料の収集をほぼ完了した。すでに収集しているヨヘリソンの著作--ユカギール民族誌(1926年刊行)およびユカギール語民話テキスト(1900年刊行)--に基づいて、ユカギール語の記録の電子コーパス化を継続して進めた。これと並行して、これまでのユカギール語の記録を資料として、当該時期のユカギール語の文法構造を共時的に分析・記述する作業を継続して行った。 コロナ禍による学内業務の予期せぬ多忙な状況が続いたため、今年度は現在までの研究のとりまとめに集中し、将来予定している単著の出版に向けて現在までの論文の内容のチェックや見直しを進めた。 再度の研究期間延長が認められたため、来年度に研究全体のとりまとめ、著書出版に向けた財源確保等を行い、単著の研究書を出版する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
19世紀末から20世紀初頭にかけてのユカギール語の記録の収集はほぼ終了し、その電子コーパス化もやや遅れながらも進んでいる。節連鎖構造の発達についての考察が学内業務の多忙により遅れており、予定している単著の出版の財源確保も順調に進んでいるとは言えないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
民族学者ヨヘリソンによる19世紀末から20世紀初頭にかけてのユカギール語の記録の電子コーパス化を継続する。 その資料、および現時点までの研究の成果に基づいて、節連鎖構造の発達についての考察を進展させ、論文を刊行する。また、現在投稿中の論文がまだ出版されていないので、その出版に努める。 高い研究水準に達している英語史、および言語類型論的視点からの通時統語論などの理論的成果を検討し、理論的・方法論的観点をさらに深化させる。 以上の成果を総合して、財源確保を前提として単著の研究書を出版する。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部をなす節連鎖構造の発達についての考察がコロナ禍による学内業務の多忙により遅れており、それに伴って研究全体のとりまとめにも若干の時間と費用が必要であるため。次年度まで研究計画を延長することが再度認められたので、財政的基盤を整え、資料の追加的入手をはかるなどして研究の発展につなげる。
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