2016 Fiscal Year Research-status Report
現代ドイツ語の書き言葉における現在完了形の使用実態に関する計量的研究
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16K02678
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今道 晴彦 広島大学, 文学研究科, 准教授 (40758182)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドイツ語教育 / 新聞記事 / ニュース放送 / 導入部分 / 動詞形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,書き言葉における時制の使用実態を計量的観点から分析し,中級レベル以上のドイツ語学習者の読み書きに資するための情報を得ることを目的とするものである。具体的には時事的テキストおよび学術論文を分析対象とし,本年度(平成28年度)は前者の時制の配列パターンを整理することを目指した。 一般に新聞記事の導入部分では現在完了形が優先的に選択されることが知られているが,報告者の知る限り,この点を裏付ける実証的調査の数は乏しい。また,主なドイツ語の文法書や学習書には,テレビやラジオのニュース放送における使用状況の記述は一切ない。そこで,本年度は,ドイツ語学習者も利用する可能性が高いインターネット配信の新聞記事とニュース放送(通信社2社,テレビ放送局1社,ラジオ放送局1社)の導入部分(リード)における動詞形式とその配列パターンを調査した。 その結果,全体でもっとも多いのは現在完了形で76%を占め,次に多い現在形とあわせると98%に達することが判明した。導入部分においてどちらの動詞形式を取るかについては,概ねどの動詞を選択するのかという問題に帰着することがわかった。また,動詞形式の配列パターンについては,現在完了形と現在形で始まる記事は,記事の長さに関係なく,たいてい過去形が後続しており,頻度の面でも文体上の定石になっていることが確認された。今回の調査では,現在完了形ないし現在形で始まり過去形が続くという配列パターンはとりわけニュース放送において徹底されていることが見て取れたが,他方で,新聞記事では過去形や過去完了形で始まる記事も見られ,動詞形式の配列が一様ではないことも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)今回の調査によって,時事的テキストの導入部分において時制の使い分けがなされており,ドイツ語の学習項目として認知される必要があることが確認できたため。
2)時制の配列パターンに関して,新たに新聞記事とニュース放送の間に微妙な傾向の違いが存在することが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成29年度)は,時事的テキストにおける時制の配列パターンを時系列の観点から分析する。分析対象とするデータは,入手方法の問題もあることから,20世紀のドイツ語に限定し,時制の配列パターンの変遷と今後の動向を分析する。
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Causes of Carryover |
初年度となる本年度(平成28年度)当初は,より高速処理が可能なPC(の最新版)を購入予定であったが,その販売が遅れていることから購入を次年度に延期し,ドイツでの資料収集に研究費を費やしたため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた差額は次年度のPC購入に使用する予定である。
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