2018 Fiscal Year Research-status Report
現代ドイツ語の書き言葉における現在完了形の使用実態に関する計量的研究
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16K02678
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今道 晴彦 広島大学, 文学研究科, 准教授 (40758182)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドイツ語教育 / 新聞見出し / 表現形式 / 言語変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は(平成30年度)は,新聞の見出し部分に限定して,時制を含めた表現形式の通時的変化の有無を計量的観点から探ることを目指した。 一般に新聞を読む場合,最初に見出しを読んで記事内容の要点を把握し,さらに読み進めるか,別の新聞に移るかの判断を行なうことになる。その意味において,見出しの影響力は大きく,新語の創出,合成語による造語,専門語・外来語の借用,歴史的現在の使用,省略現象など,語彙面,統語面で独特の表現技法が生み出されてきた。このことから,新聞読解力を身につけるためには,見出しを理解することが不可欠であり,見出しの表現技法を学ぶことが重要となる。他方で,新聞も常に変貌を遂げており,見出しも時代の流れの中でなんらかの変化にさらされてきたと推察される。しかし,ドイツ語の見出しを巡っては,表現形式の包括的な整理や,英字新聞の見出しとの比較対照など,共時的観点からの研究はなされてきたが,見出しの変遷に関する通時的研究はほとんど行なわれてこなかった。 本研究では,ドイツの有力紙のひとつであるDie Zeit紙を用いて,見出しの表現形式における通時的変化の有無を調査すると共に,表現形式のひとつである文に限定して,構文・品詞,語彙の観点から,どのような変化が見られるのかを調査した。 その結果,ドイツ語の見出しでは,語句,文,省略形が表現形式として使用されるが,すべての年代で語句が優勢であるものの,1990年以降は減少傾向にあること,それに対して,文が増加傾向にあることが確認された。さらに,1990年以降増加傾向を示した文に限定して,構文・品詞,語彙の面から通時的変化の実態を調査した結果,当初は冠詞類が付された名詞が主語となる文が見られたが,最近はニュースの当事者の発言をそのまま見出しにする傾向や,疑問文を用いる傾向なども見られ,表現の多様化,大衆化が進んでいる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新聞の見出し部分における表現形式の変化を示す結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は,新聞の見出し部分で見られた現象がドイツ語の新聞見出し全般に見られる現象であるのかどうかを探る。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度にドイツ滞在を予定しているため,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 上述の通り,生じた差額は次年度のドイツ滞在時の旅費で使用する予定である。
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