2020 Fiscal Year Annual Research Report
The linguistic and bibliographic Study of Old Korean Books in Japan
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16K02696
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
藤本 幸夫 麗澤大学, 研究センター, その他 (70093458)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 出版文化 / 木版本 / 活字本 / 坊刻本 / 内賜本 / 朝鮮本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はコロナ禍のため、緊急事態宣言が関東・関西で出され、往来控えや図書館・文庫などの閉室・閉館・入室制限などがあって、調査及び研究がままならなかった。実際に調査できたのは、武田薬品工業株式会社附属杏雨書屋と内閣文庫であった。 杏雨書屋には医書・本草書を中心に多くの漢籍類が収蔵されている。その中には朝鮮刊本及び写本があり、その中心は三木栄博士の蒐集本である。朝鮮本は350部程あり、内容は医書・本草書を中心に四部に亙り、その中には天下の孤本も少なからずある。筆者は既に『日本現存朝鮮本研究 集部(史部)』の2冊を上梓しており、杏雨書屋中の集部及史部書の上記書未収載分は、今後補遺篇に収める予定であり、医書・本草書は現在原稿作成・入力中の「子部」に収める。『医科先生案』『医家譜』『医登第譜』『医監蔭譜』『救急方』『経験方』『四医経験方』『及幼方』『医林類證集要』『医宗損益』『医林集要』『新編医学正伝』等は本国でも稀覯である。これらの内朝鮮活字本『新編医学正伝』を藍本とした慶長年間日本古活字本も収蔵されており、比較研究が可能である。その他『周易卦火珠林』は陰陽書で、朝鮮では禁書となっており、他に伝存はない。また明宗8年(1553)冬清州牧刊『礼部新降通併韻略』は韻書であるが、存在が稀である。『達道集註大全』は十九世紀半ばから後半にかけて盛んに刊行された道教関係書であるが、通行本とは一部異なり珍しい。 内閣文庫は既に調査が終わっているが、現在執筆中の「子部」解題の補充的調査を行い、更に筆者は『日本現存朝鮮本研究 図版篇』を作成中であるが、そのため補足的写真撮影を行った。
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Remarks |
藤本幸夫が50年余調査研究した『日本現存朝鮮本研究 集部(史部)』をデータベース化したもので、日本にある朝鮮本の集部及び史部書約6000部が公開されている。同一書は版種別に、各版は時代順に配列されているので、直ちに最善本を知ることができる。経部・子部も追加の予定である。
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