2016 Fiscal Year Research-status Report
構文文法の視点からの比較統語論―ドイツ語・英語・日本語の比較
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16K02711
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宮下 博幸 関西学院大学, 文学部, 教授 (20345648)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 構文文法 / 対照言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はまず3言語の自動詞表現、中でも [主格名詞句 + 動詞] を中心に考察を行った。研究実施計画ではこの構文を伴う用例を、対象とするドイツ語、英語、日本語のコーパスから収集する予定であったが、この構文は非常に基本的なものであるためデータが膨大であり、比較にも予想以上の困難を伴うことが判明した。したがって本年度は方針を変更し、まず3言語の翻訳、具体的には各言語版の『ハリーポッター賢者の石』を用いて、その中で[主格名詞句 + 動詞] 構文が各言語でどのように用いられているかを比較した。その成果はスペインで行われた 2016 International Symposium on Verbs, Clauses and Constructions にて発表した。また3言語の比較に際しては、個別言語に注目して詳細にその構文の使用状況を明らかにする必要があると考えたため、ドイツ語の[主格名詞句 + 動詞] 構文に注目し、この構文がドイツ語においてどのように使われているかを調査した。この構文が使用される際は、一般に他動詞構文の省略と考えられる場合も多いが、本研究ではそれを省略とは考えず、この構文が積極的に使用されるという独自の視点から考察を行った。その成果は第44回語学ゼミナール(日本独文学会主催)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の研究計画では、対象とする3言語の自動詞構文のうち、 [主格名詞句 + 動詞] ならびに [主格名詞句 + 動詞 + 方向規定表現] の形式をとる2構文を重点的に考察する予定であった。本年度は前者の [主格名詞句 + 動詞] 構文に関しては考察を進めることができ、それに基づいた研究発表を行ったが、後者の [主格名詞句 + 動詞 + 方向規定表現] 構文に関しては関連文献の収集は済んでいるものの、まだ十分に考察が進んでいない。遅れの理由としては、自動詞構文が非常に基本的なものであるため、一つの構文の分析に予想以上の労力を費やすことになったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては次のように考えている。まず平成29年度は、平成28年度に研究する予定であった [主格名詞句 + 動詞 + 方向規定表現] の形式をとる自動詞構文を重点的に考察し、その内容を研究発表などで公表する。そして引き続き平成29年度に研究を進める予定となっている他動詞構文の分析に移りたい。研究対象とする他動詞構文はこれまで扱った自動詞構文と同様に、非常に基本的なものであるので、おそらく予想以上の労力が必要だと思われる。したがって平成29年度は[主格名詞句 + 動詞 + 対格名詞句]の構文のみを扱い、同様に考察する予定であった[主格名詞句 + 動詞 + 対格名詞句 + 形容詞]は平成30年度に扱うこととしたい。
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Causes of Carryover |
書籍費として考えていた物品費の支出が当初の予定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関連書籍を購入する費用に充てる。
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Research Products
(7 results)