2016 Fiscal Year Research-status Report
コーパスを活用した接続表現研究の可能性に関する探索的研究
Project/Area Number |
16K02715
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
馬場 俊臣 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70218668)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 接続詞 / 接続表現 / コーパス / 文体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、コーパスを活用した接続詞研究の問題点・留意点を明らかにするために、現代日本語の研究において多く用いられる『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)の形態論情報(特に品詞「接続詞」の情報)の信頼性の検討を行うために、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)の短単位の品詞情報「接続詞」(非コアデータ)の解析精度の調査を行った。調査対象は「接続詞」の使用頻度上位20位までの語であり用例を抽出して行った。調査の結果、短単位「接続詞」全体の解析精度は高いが、特に「で」(61%)、「唯」(76%)は極めて低く、「又」「更に」「猶」は80%台で低くなっていることが明らかとなり、接続詞研究においてBCCWJの品詞情報の検索結果をそのまま利用する際に留意する必要があることが分かった。この成果は論文として発表した。 さらに、文章構造・文体分析と接続表現との関連に関する先行研究の整理を行うとともに、文体と接続詞の使用に関する試行的な調査として、BCCWJの「特定目的・教科書」データを用いて、学年段階別別及び教科別の接続詞の特徴を分析し、特に国語教科書は他の教科の教科書に比べ極めて多様な接続詞や話し言葉的な接続詞が使われること、社会科教科書は叙述的な接続詞が使われやすく、数学教科書は因果的な論理関係を表す接続詞が使われやすいなど教科により特徴があることなどが分かった。この調査は中間報告として口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コーパスを活用した接続詞研究の問題点・留意点に関する調査結果を論文で発表するとともに、文体と接続詞の使用に関する試行的な調査を行い口頭発表を行った。研究目的、実施計画に沿って、研究が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、文章構造・文体分析と接続表現との関連に関する先行研究の整理及び文体(ジャンル)との関連に関する調査分析を継続して行うとともに、複合的な接続表現に関する分析など、コーパスを活用した接続表現の計量的分析の可能性をさらに深めて研究を行う。
|
Causes of Carryover |
物品費特に必要な図書等の選定に時間が掛かり今年度の支出には間に合わなかった。また、旅費に関しては日程的な理由で事前の予定よりも少なくなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した物品費と合わせて必要な図書等の選定を計画的に行っていくとともに、旅費に関して日程等を早めに十分に勘案して計画を立てる。
|
Research Products
(2 results)