2022 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical Study on the Acceptance of Standard Japanese in the Language of Local-Origin Writers during the Period of the Popularization of the Standard Japanese
Project/Area Number |
16K02716
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小島 聡子 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70306249)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大正期 / 標準語 / プロレタリア文学 / 童話 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象としている時期の言語データベース(コーパス)を作成すべく、プロレタリア文学の雑誌の一部を電子テキスト化し、形態素解析等の作業を行っている。なお、このデータについては何らかの形で公表することを考えているが、現在、その方策は模索中である。 本研究ではこれまで、大正期のテキストのうち、特に中央文壇で活躍した作家や実用的な文章ではない周辺的なものとして、子供向けの童話作品を取り上げて考察してきたが、それに加えて、プロレタリア文学雑誌の言葉を取り上げようとするものである。童話もプロレタリア文学も、作家たちの多くが地方出身であり、さらにプロレタリア文学の作家やプロレタリア文学の雑誌の投稿者たちは教養層でもないという点で、東京の教養層の言葉を基盤に作り上げられた「標準語」との距離が大きいと考えられる。大正期は、学校教育などを通じて「標準語」が浸透した結果、従来の教養層以外にも「ものを書く」ということが拡大していった時期ということも出来る。既存のコーパス類において、現代語については様々な位相の言語を対象とするものが充実してきているが、近代のものは地域的にも位相的にも中央の規範的なもの、子供向けの教科書や教養層を対象とする雑誌などが中心で、それ以外のところは未だ手薄なところが残っている。本研究のデータは、そのような既存のコーパスでは取り上げられていないところを扱い、特に当時の言語の重層的な実態の解明に寄与することが出来ると考える。
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