2018 Fiscal Year Research-status Report
古代日本語における形容詞述語文主語標示の形態論的研究
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16K02718
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
高山 道代 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (70451705)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 形容詞述語 / 主語 / 対象語 / 名詞語形 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の研究状況を引き継ぎ、2018年度は主語名詞の文法的意味と形態的差異の関係性について検討をすすめるとともに、主語名詞の文法的意味により分類を作成し、これに基づいて名詞と質的形容詞のむすびつきのつくる意味的関係性のタイプによる分類の作成および名詞と質的形容詞のつくる意味的関係性と名詞の形態的差異について検討をおこなう計画をたてていた。 しかし、本研究の中心的な課題である名詞語形態の機能と諸形態の関係性について分析するにあたり、「ハダカ格」も含めた諸格標示形態の位置づけや理論的な立場について問われ、これまで先行研究でとりあげられてきた諸知見のなかで本研究でとりあげる格標示機能について整理しなおす必要が生じた。このため、当初の予定を変更し、「ハダカ格」も含めた格標示形態としての名詞の諸語形態の捉えかたについての学誌的な研究を記述的研究に優先させることとし、論文(「言語分析における『ゼロ記号』の意義をめぐって―格標示機能に焦点をあてて―」『歴史言語学』第7号、pp.17-33、2018年)にまとめた。このことにより、本研究の理論的な輪郭が明らかになり、記述的研究の意義や課題についてもより一層、明確なものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
拙著『平安期日本語の主体表現と客体表現について』(2014)に対して複数の書評をいただいたことを受け、本研究においても中心的な課題となる「ハダカ格」も含めた格標示形態としての名詞の諸語形態の捉えかたについて、先行諸研究との関係性を整理し、理論的な立場を示す必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
作業の遅れている形容詞述語と意味的関係をもつ名詞諸語形の意味・機能についての記述的研究を重点的におこなう予定である。それとともに、格標示形態としての名詞の諸語形についての理論的な研究も継続しておこなう。
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Causes of Carryover |
当初、研究補佐員による作業補助を予定していたが、適任者が見つからず研究代表者が一人で作業を進めなければならない状況となっており、人件費の支出がないことによる。また、研究進度の遅れや研究計画の変更から、資料および情報収集等の出張の機会が減ったことによる。 今年度も代表者本人が作業をおこなう予定であるが、常時研究補佐員の募集をかけ、適任者が見つかりしだい、補佐員の採用をおこないたい。また、出張については研究の進捗状況に応じて過不足なくおこなう予定である。
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Research Products
(1 results)