2018 Fiscal Year Annual Research Report
The study of Kundoku and Wakun about Buddhist material which makes the Kukai's work the center
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16K02728
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山本 秀人 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (30200835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 啓吾 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (40257902)
山本 真吾 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70210531)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 空海撰述書 / 仏書 / 漢文訓読 / 高野山 / 三教指帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者山本秀人(高知大学)は、昨年度から引き続き、高野山大学図書館において『三教指帰注抄』(金剛三昧院蔵)の原本調査を行った。本書は、弘法大師空海撰述『三教指帰』の注釈書で、鎌倉時代の書写に係り、訓点も稠密に施されており、本研究の基軸に据えるべき日本語史研究上貴重な文献である。これまでの調査で、訓点を含む本文の概要は把握できたが、日本語史研究に資する厳密な翻刻を公表するには再度の確認調査が必要であると判断された。分担者山本真吾(東京女子大学)は、島根大学法文学部所蔵の『毘沙門天講式』(天明期書写)、東寺所蔵『願文集』等の原本調査を実地に行った他、奈良国立博物館所蔵『雑筆集』の教化の文体分析を行った。『毘沙門天講式』は天明の書写ながら訓点が稠密に施されており、空海ゆかりの真言宗関係講式として貴重である。東寺所蔵『願文集』は、空海の活躍した平安初期の願文を集成しており、空海作願文との比較材料として有用であることが分かった。収録願文の対句表現や冒頭、末尾の形式は今回の分析によって平安初期の傾向性と合致することが判明し、言語的特徴からも本書の成立時期を裏付けることができた。奈良国立博物館所蔵『雑筆集』はやはり空海ゆかりの真言宗関係の表白類を収録したものであるが、ここに収載される教化は片仮名文で記され、日本語史料として有用であるとの見通しを得た。分担者宇都宮啓吾(大阪大谷大学)は、今年度も、引き続き、智積院所蔵の真言宗関係文献の実地調査、その整理、語学的分析に従事するとともに、仁和寺蔵『三十帖冊子』の訓点に関する調査を踏まえてシンポジウムを開催し、その成果の公表を行なった。『三十帖冊子』は空海が入唐中に長安において写経生らを集めて書写させ、自身でも筆を執り持ち帰った経典の冊子で、仁和寺蔵本は空海自筆の古写本として広く知られているが、この訓点調査の結果を述べたものである。
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Research Products
(9 results)