2016 Fiscal Year Research-status Report
地域社会における社会構造の変容と言語変化に関する実証的研究
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16K02734
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
木川 行央 神田外語大学, 言語科学研究科, 教授 (50327186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 敏夫 愛知教育大学, その他部局等, 理事・副学長 (60145646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語地理学 / 自然談話 / 言語変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、安倍川流域における言語地理学的研究のための調査を、安倍川下流域である静岡市駿河区および葵区の一部において実施した。本調査は平成23年後~平成27年度基盤研究(A)「方言分布変化の詳細解明-変動実態の把握と理論の検証・構築」(研究代表者・大西拓一郎)によって行った大井川流域の言語地理学的調査に引き続き、その東にあたる安倍川流域において行うものであり、かつ、昭和49年~昭和58年にかけて静岡大学方言研究会が実施した安倍川および大井川流域の言語地理学的研究で行った調査との比較を行うために行っているものである。したがって、30~40年経過した後の言語の地理的分布の変化を確認できるとともに、その変化に地域差があるのかどうかの確認もできると考えられる。また語彙や文法項目の中で変化が甚だしく起こっている項目、逆にあまり変化していない項目などの確認ができると考えられる。現在、この調査の結果を整理している。 また、静岡市葵区足久保奥組において、自然談話の収録を行った。この調査は、文化庁が実施した各地方言収集緊急調査の一環として、昭和54年から昭和56年にかけて静岡県静岡市足久保奥組で収録された自然談話との比較を目的とするものである。自然談話の分析によって、体系的な調査や言語地理学的調査では捉えきれないまたは捉えることの難しい事象を補完することができると考えられる。かつ、同じ地域での収録であるので、自然な話しことばにおける変化を捉えることができる。現在、その録音の文字化およびその確認を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静岡市教育委員会および駿河区・葵区の協力を得、調査は初年度計画していた地域で行うことができた。ただ、調査員および調査協力者の数が当初期待した人数には及ばず、地点数としてはやや少なかった。また自然談話の収録についても、協力者の関係で時間数が少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の調査に引き続き、さらに上流域に調査対象地域をひろげ、言語地理学的調査を実施する。さらに、自然談話をさらに収録しその文字化およびその分析を行う。また、体系的調査も実施の予定である。
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Causes of Carryover |
調査を予定していた地点の数、すなわち調査協力者数が当初予測していた数よりも少なかったこと、また調査者についても当初期待していた人数が集まらなかったこと、これらにより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査の回数を増やす、また自然談話の収録についても録音時間を増やすことによって使用する。また、連携研究者を依頼することによって、これらの作業の進めるを考えている。
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