2018 Fiscal Year Research-status Report
19C日本語研究資料が記した標準日本語の基礎的調査と研究
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16K02737
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
木村 一 東洋大学, 文学部, 教授 (90318303)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 辞書 / 日本語研究資料 / ローマ字 / ミッション / 印刷 / 出版 / 文体 / 漢字表記 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外に点在する日本語研究資料(文法書・辞書・テキスト等)は,それぞれに背景を持っている。それは,時代,人物が深く関与して,現在の状況を形成していることによる。 そして,これらの研究は,先学によって着実に行われてきている。しかしながら,近年まで,インターネットやデジタルカメラといった電子デバイスすら存在しない状況での資料の所蔵確認,閲覧,書誌情報の記載,データ保管は,とても困難なものであったと推察される。そのために,本調査を行うまで,書誌的な情報が残されながらも,実際の存在自体が明瞭ではなかったものも存在した。 これらの問題点をクリアできた大きな要因は,事前に現地の機関のOPACなどにアクセスし,連絡を取りながら,現地におもむくことができたことによる。さらに,数十年前に比して,大量のデータを簡便に撮影,保存することが可能となったも重要である。一方,時間や労力をかけての実地踏査は不可欠であることを再認識する機会ともなった。実地におもむき,資料や担当者と対面して閲覧することで,見込み違いや誤りをあらためることができたためである。収集した資料については,継続して解析を行いながら,資料の公開,また研究成果を発表していく予定である。 並行して,幕末・明治期の辞書のデータベースを構築しつつある。データに関しての整理,検討を加えながら,自身の研究に寄与するように進めている。さまざまな日本語研究資料の電子化は実際の図版ともども急務であり,特に資料の劣化と正面から向き合う必要があることを実感している。 以上,入手した資料や情報をもとに,継続して,次年度も取り組んでいきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
19Cの日本語研究資料を検討するために,さまざまな資料を実見,確認することを継続して行った。また,あわせて関連する資料群についても考慮しながら進めた。 国内では長野,関西での調査を行い,資料を収集することができた。海外での調査ではオランダに赴いての機会を得ることができた。これらの資料については,引き続いての調査を行うべきものばかりである。 また,シンポジウム(日本,中国)での発表を計3回行うことができた。漢字文化圏における日本語研究資料のとらえ方をはじめ,有意義な意見交換が行えた。今後に活かしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して,国内外で外国人宣教師等によって作成・刊行された日本語研究資料の資料収集,また解析を行う。特に,江戸期から明治期にかけての標準日本語の成立と展開を日本人による資料群から探ることには,各資料の趣旨や性質,そして対象の異なりなどから,一元化しがたく不明瞭になる面がある。一方,日本語の解析という立場と,実際の日本語の使用の必要性から編まれた日本語研究資料を中心に据えることで,19Cの標準日本語を導き出せる可能性があると考える。 様々な日本語研究資料における個々の基準軸に配慮しながら諸資料との比較検証を行うことで,19Cの標準日本語の実態を現代日本語への展開を考慮しながら追究することとしたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が無いため,記入しない。
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Research Products
(5 results)