2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02773
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 不二夫 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20149496)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語史 / 近代英語 / 統語変化 / 形態変化 / 助動詞do / 進行形 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年に1回行われる2つの国際会議口頭発表を行った。①まず、第5回英語史国際会議において、邦訳「近代英語において助動詞doを用いない肯定疑問文」(於フランス共和国トゥール大学)を発表。助動詞doが定着した近代英語にあってもなお、doを用いない肯定疑問文が使われることがあった。それはどのような統語環境であったかを、130冊の日記・書簡の全例調査を基に解明した。好評を博した。②次に、第6回後期近代英語に関する国際会議において、邦訳「後期近代英語における分詞の進行形の盛衰」(於スウェーデン王国ウプサラ大学) を発表。130冊の日記・書簡の全例調査と、InteLexを始めとする12種の電子コーパスの分析を基に、これまで稀な語法であると片付けられていた分詞の進行形が、17世紀と18世紀に頻繁に使われていた点を明らかにし、定説の誤りを正した。構造的には主節に後続する位置で、使われる動詞はgoが群を抜いていた。単なるV-ingの分詞構文には欠けている意味の要素、つまり、進行中の出来事、未来の取り決め、反復等を表出することに存在意義があったと考えられる。そのため、聖職者や高い教育を受けた人々によっても使われた。現代英語に引き継がれなかった理由として、二重のing形の不快な音調のせいであると指摘した。大変好評を博した。③④さらに、秋には2冊の著書 (共著) も脱稿した。いずれも年度内に刊行される計画であったが、前者は次年度5月に、後者は8月に遅延される旨の連絡が入った。 本年度の研究成果は、「研究実施計画」に記したとおり、日記・書簡資料130冊、ICAME第2版に含まれている8つの電子コーパス、ARCHER3.2、OED on CD-ROM第2版を調査史料とした、近代英語の統語変化、助動詞do、進行形、助動詞縮約形の歴史の研究である。形ある研究成果を残すことができたと判断する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
著書 (共著) の出版が年度を越えたため、形ある研究成果は2つの国際会議口頭発表だけになってしまったが、実際には、著書 (共著) の仕事も今年度に行った業績である。概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を継続し助動詞縮約形の発達について国際会議で発表したのち、2冊目の単著Correlation between the Establishment of Negative Contractions and the Development of their Related Idioms: With Special Reference to Tag-questions (仮題) の執筆を完了し、英文校閲、出版交渉にこぎつけたい。さらに、形態論の一研究として新たに始めた研究成果を「英語の基数詞・序数詞の述べ方の歴史」と題し、ヨーロッパの国際会議で発表したい。国内でも、日本英文学会、近代英語協会、日本英文学会中部支部大会、日本英語学会に出席し、学説を吸収したい。
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Causes of Carryover |
次年度も、2度の国際会議口頭発表のため渡航を計画している。そのための助成金を少しでも多く残したかったため。
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Research Products
(4 results)