2016 Fiscal Year Research-status Report
英語の事象修飾に見られる、形式と意味との対応関係とその規則性について
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16K02774
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
金澤 俊吾 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (70341724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 形容詞 / 事象修飾 / 可算名詞 / 不可算名詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目にあたる本年度は、形容詞と、実体を表す名詞句、疑似部分詞+名詞から構成される名詞句との間にそれぞれ見られる、事象修飾の事例について考察した。COHAを用いて、形容詞が、beer, coffeeから構成される各名詞句(a beer, a coffee; a {glass/bottle/can} of beer, a cup of coffee)を修飾していながら、メトニミー的に事象修飾の関係を構築する事例の意味的特徴について考察した。その結果、形容詞は、beerの場合にはa beerと、coffeeの場合にはa cup of coffeeとの間で、それぞれ事象修飾の関係が強く見られることが明らかとなった。 a beerは、動作の様態を表す形容詞と修飾関係を構築し(a {quick/slow} beer)、動詞enjoyの目的語の位置にも生起できる。a {glass/bottle/can} of beerの場合にも、形容詞secondやlastを伴い、動作を行う順序を表すことで、事象修飾の関係を構築する例も見られるが、形容詞coldやfreshと共起し、ビールの状態を表す傾向が強い。 a cup of coffeeと形容詞との間には、様々な事象修飾が見られる。飲み物の評価(a {delicious/good/ decent} cup of coffee)や、動作の様態(a {hasty/quick/third} cup of coffee)、出来事の様子(a {comfortable/convivial/thoughtful/midmorning} cup of coffee)を表す形容詞が、それぞれ生起できる。また、形容詞hot, freshが、a cup of coffeeを修飾することで、コーヒーの状態を表す例も見られる。一方、a coffeeの場合、基本的には、deliciousやgreatなどコーヒーの品質や評価を表す形容詞が生起する。1984年、a {quick/morning} coffeeのような事象修飾の例も見られるが、この用法は、a cup of coffeeと比べ、後年になってから確立していることが分かる。 なお、本研究の成果の一部は、学会発表1件においてなされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画にある、経験的事実の収集と観察を行う作業のうち、形容詞と、実体を表す名詞句、疑似部分詞+名詞から構成される名詞句との間にそれぞれ見られる、事象修飾の事例については研究を進めることができた。しかし、形容詞が、「事象名詞を修飾することで、メトニミー的に事象内の動作、参与者を修飾する事例」の検証は行うことができなかった。次年度は、この事例の調査を早急に進めるとともに、各事例に見られる記述的一般化をさらに精緻化する。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に残されている作業を早急に進めるとともに、29年度は、3つの各事例に見られる修飾パタンの頻度と文脈の検証、各事例の経験的事実の発掘をさらに進める。また、最終年度、類像性と頻度との関係を明らかにする予定である。それに向けて、29年度は、各事例に見られる記述的を精緻化し、理論を用いて体系的に説明できるよう、研究を進める。また、これらの研究で得られた成果を、論文および学会発表を通じて発信する。
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Causes of Carryover |
28年度は、図書、文献等の購入が、当初予定していたものより少なかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度で購入を予定していた図書、文献については、29年度できるだけ早い時期に購入し、次年度使用額が生じないよう、計画的に予算を執行する。
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