2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Correspondence between Form and Meaning and Its Regularities in Event Modification in English
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16K02774
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
金澤 俊吾 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (70341724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 形容詞 / 事象修飾 / 類像性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の本年度は、形容詞hotが、名詞句a cup of Nを修飾する際に見られる、2種類の修飾関係(a hot cup of Nとa cup of hot N)の形成過程を通時的に考察した。その結果、2つの当該名詞句は、形容詞の修飾対象が、a cupからNへと主要部が推移することで、「1杯の熱い飲み物」と解釈されることを明らかにした。また、名詞句a hot cup of Nは、当初は前置詞句の目的語位置に生起し、1990年代後半以降、動詞drinkやbrewの目的語位置に生起することから、構文化の途上にあると考えられる。さらに、同族目的語構文live a/an Adj lifeと、同義関係にある動詞句lead a/an Adj lifeの形成過程に関して、生起する形容詞の初出年と頻度の比較により考察した。各動詞句に生起する形容詞の分布が、相互に影響を与えることで各動詞句の使用が拡大したこと、生活状態を客観的に表す形容詞から主観的に表す形容詞に至るまで、3段階に分かれて推移、拡大したことを明らかにした。 4年間にわたる本研究は、英語の形容詞、名詞から構成される名詞句において、形容詞と事象(および事象の参与者)との間に構築されるメトニミー的修飾関係のメカニズムの解明を試みた。事象修飾には、文レベルで成立する事象修飾と、談話的要素の補完により成立する事象修飾が見られること、当該名詞句の慣習的な使用により、従来の形式からの変化、新たな表現形式の創出、変異形の使用が見られること、さらには、いずれの事例においても、当該名詞句内の形式と意味との対応関係は、一貫して類像性によって動機付けられていることを明らかにした。本研究で得られた成果は、Perek (2015)による、語彙意味論と、構文文法、コーパス言語学の知見を融合した研究内容と軌を一にし、当該の研究の精緻化に寄与していると言える。
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