2016 Fiscal Year Research-status Report
対称的素句構造の音声化・線形順序化における形式素性・形態格の役割について
Project/Area Number |
16K02779
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
成田 広樹 東海大学, 文学部, 講師 (60609767)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 句構造の対称性 / 句構造の内心性 / 素性均衡 / 形態格 / 一致素性 / 省略 / 線形化 / 音声化 |
Outline of Annual Research Achievements |
句構造の対称性についての福井直樹氏(上智大学;以下敬称略)との共同研究を進めた。二年次出版予定の著作原稿を書き進め、また、その成果の一部を新たに論文として執筆し、Routledge論集(福井編)に寄稿した(2017年5月刊行予定)。これらの研究では、N. Chomsky(MIT)らのラベル付けアルゴリズムに対する現代的研究を批判的に検討し、代案として、素性の均衡状態に基づく句構造形成原理の統一的原理を模索している。 また、言語の基本演算についての福井直樹、辻子美保子(神奈川大学)、加藤孝臣(上智大学)、葛西宏信(北九州市立大学)との共同研究を、日本英文学会第88回大会シンポジア第十一部門「統辞法の原始演算とインターフェイス」にて2つの招待講演として発表した。また、この研究に基づく新しい論文を描き下ろした(福井編・2017年5月刊行予定)。これらの研究においては、言語の全ての演算は原併合(0-Merge)と原探索(0-Search)の合成演算として再解釈されるという新たな仮説が提示されている。 さらに、諸言語における省略現象について、木村博子(目白大学;研究協力者)との共同研究を進め、特に日本語の短縮応答構文の分析を中心とした研究成果を国際学会SICOGG 18(Seoul)、GLOW in Asia 2017(Singapore)において発表した。 さらに、Noam Chomsky (2012) The Science of Language (CUP)の翻訳を完成させ、『チョムスキー 言語の科学:ことば・心・人間本性』と題して岩波書店から刊行することができた。また、チョムスキーの科学論・認識論についての研究成果を、慶應言語学コロキアム招待講演にて発表することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
言語の基本演算についての福井直樹(上智大学)、辻子美保子(神奈川大学)、加藤孝臣(上智大学)、葛西宏信(北九州市立大学)との共同研究を、日本英文学会第88回大会シンポジアにて発表した上、来年度に予定していた新しい論文作成・投稿を前倒しして今年度に行い、無事論集『Merge in the Mind-Brain』に受理され、出版に向けての執筆を校了することができた(2017年5月刊行予定)。同論集には他にも、福井直樹との共同研究の論文を1篇書き下ろし、また、過去の研究成果を2篇再掲することができた。 また、来年度まで時間を掛けて進める予定だった省略現象についての木村博子(目白大学;研究協力者)との共同研究が予想以上に進行し、特に日本語の短縮応答構文の分析を中心とした研究成果を国際学会SICOGG 18(Seoul)、GLOW in Asia 2017(Singapore)に投稿・受理され、無事研究発表を行うことができた。SICOGG 18の学会会報はすでに発刊され今年度の業績とすることができたし、来年度にはGLOW in Asia 2017の学会会報に論文を寄稿・出版することが決まっている。 句構造の対称性についての福井直樹との共同著書については、出版社との協定のもとに2017年ー2018年の出版を見据えて準備することとなったため、N. Chomsky(MIT)らのラベル付けアルゴリズムに対する現代的研究を詳細かつ批判的に検討し、提案する素性均衡の概念を句構造形成原理の統一的原理として定立することを目指して、研究・執筆を進めている。 また、チョムスキーの科学論・認識論についての研究成果を、慶應言語学コロキアム招待講演にて発表することができたことも、研究計画申請当時には予想していなかった新たな成果といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
句構造の対称性についての福井直樹氏(上智大学)との共同著書『Symmetry-driven Syntax』(仮題)の執筆を進める。また、その成果の一部を発展させた、形態格の音声化・線形化における役割についての研究を、関西言語学会第42回大会にて発表する(2017年6月)。 さらに、句構造の対称性と内心性、人間言語のレキシコン(辞書部門)の構成についての新たな研究を進め、2018年3月に慶應義塾大学言語学コロキアムにて発表を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
購入した物品等が想定より安価で手に入ったため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度内に新たに1つのPC及びその周辺機材の購入を行う。また、言語学、日本語学、英語学、認知科学、科学論関連の研究書の購入、および文房具やパソコン周辺機器等の消耗品の購入を計画する。関西言語学会や日本英語学会・日本言語学会等の年次大会への研究出張の費用を支出する予定である。また、研究に関わる資料収集整理業務に短期の臨時職員を配置し、人件費を配分する予定である。
|
-
-
-
-
[Journal Article] 0-Search and 0-Merge2017
Author(s)
Narita, Hiroki, Hironobu Kasai, Takaomi Kato, Mihoko Zushi, and Naoki Fukui
-
Journal Title
Naoki Fukui, ed., Merge in the Mind-Brain. London: Routledge
Volume: -
Pages: 127-154
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-