2017 Fiscal Year Research-status Report
スピーチアクトのポライトネスに関する歴史語用論的研究:コーパスからのアプローチ
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16K02780
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
椎名 美智 法政大学, 文学部, 教授 (20153405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝浦 真人 放送大学, 教養学部, 教授 (90248998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歴史語用論 / コーパスアプローチ / ベネファクティブ / スピーチアクト / 決定木分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はこれまでの研究成果を国内外の学会で発表し、論文にまとめることができた。 初期近代英語のコーパスを分析して英語で学会発表をしてきたものを、日本語の論文としてまとめた。「裁判記録に見るチャールズ一世の失脚――歴史語用論的事例研究」論文集は現在編纂中で、平成30年8月に刊行予定。 日本語を分析した研究としては、以下の学会発表と論文がある。(1)国際語用論学会(IPrA@Belfast):Japanese Benefactives in Flux and their Problematics: Grammaticalisation of 'sase-te-itadaku' and its Transformation into a New Polite Form、(2)日本語用論学会@京都工芸繊維大学:「ベネファクティブ「させていただく」という問題系--質問紙調査とコーパス調査より--」、ポストプロシーディングに同タイトルで原稿を投稿済み。(3)東アジア日本語教育・日本文化研究学会@仁川大学にて学会発表:「ベネファクティブ『させていただく』をめぐる形式と機能--2つのコーパス調査より--」、「ベネファクティブ『させていただく』の形式と機能--2つのコーパス調査より--」『東アジア日本語教育・日本文化研究』第21号、pp. 47-72.(4)東アジア日本語教育・日本文化研究学会@仁川大学にてシンポジウム『2017年以降の日本語教育の展望』の講師:「これからの日本語教育への提案」。 「ベネファクティブとポライトネス研究会の研究集会」を放送大学の瀧浦真人氏と共に立ち上げ、第一回の研究集会を法政大学で開催した。自らも「アナトミー・オブ・「させていただく」ーー質問紙調査とコーパス調査よりーー」というタイトルで発表した。また、学習院大学の高田博行氏たちと昨年度に立ち上げたHiSoPra研究会の第二回研究集会を学習院大学にて開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗は順調で、学会発表、論文執筆、研究会発足など、生産的な1年であった。少し、研究課題が広がりつつあるが、これは「研究の発展」、または「研究の方向性の修正」として評価することができる変更だと考えている。 国際学会としては、国際語用論学会と東アジア日本語教育・日本文化研究学会で、研究の途中経過を発表することができた。 国内では、日本語用論学会と「ベネファクティブとポライトネス研究会」にて途中経過が発表できた。 また、「歴史社会言語学研究会(HisSoPra)」の第二回大会の開催によって、他の研究者たちとのネットワークも深められた。 当初予定していた研究課題については、分析などは概ね完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
英語のスピーチアクトの研究は、今年度の夏に、浜松医科大学の中安美奈子氏との共著で、3つの国際学会で発表する予定で、すでにアブストラクトは受理されている。発表後、論文にまとめて学会発表、論文執筆へと進む予定である。 HiSoPra研究会については、第三回大会を開催するので、そこで何らかの研究発表かシンポジウムで研究成果を発表することが課題である。「ベネファクティブとポライトネス研究会」第二回大会を年度末に開催し、国内の他の研究者たちとのネットワーク作りをして、研究の幅を広げて行きたい。 東アジア日本語教育・日本文化研究学会でもベネファクティブについて、総括的な研究発表、研究論文執筆を行う予定である。 研究のまとめの年度にあたるので、学会発表だけでなく、論文執筆に力を入れて、これまでの研究の総括としたい。
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Causes of Carryover |
国際学会への出張費が多くなるのではないかと思われたため、学会出張を控えたので、当初の予定より出費が減った。また、同じ理由によりコンピュータの購入を控えたために、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(9 results)