2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical Approach to the Historical Syntactic Development of the Tough Construction
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16K02783
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中川 直志 中京大学, 国際英語学部, 教授 (70321015)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | tough構文 / 不定詞 / vP / A移動 / Aバー移動 / 英語史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度においては、研究計画にしたがい、tough構文の歴史的発達に関する理解に基づき、現代英語のtough構文が見せる特異性について本質的な説明を与えることを目指した。 本研究を通して、tough構文における不定詞節はvP以上に範疇を拡張してこなかったという分析を行ってきた。これが正しいとすると、tough構文における主節主語と不定詞節内の目的語位置にある空所は直接関係付けられることになる。これは従来の分析における「A移動」による派生分析を支持することになる。 しかし、tough構文は長らく、A移動的特性とAバー移動的特性の両方を示すことが問題となってきた。この問題に対する根本的解決にはさらなる研究が必要であると言わざるを得ないが、筆者が従来指摘してきた通り、この問題はtough述語がなぜコントロール不定詞節を補部に取るようになったのかという問題に還元されよう。そして、この問題に対しても歴史的アプローチや計量的アプローチが有効であると思われる。つまり、どのようなコントロール節がどの時期にどの程度の頻度で現れるようになったのかということを調査することにより、A移動的に派生されるべき構文にAバー移動的派生を強制するような不定詞節を埋め込むことの生産性を明らかにし、tough構文が現時点においてどのような歴史的発達過程にあるのかを考察することができると思われる。これにより、tough構文はA移動的派生を許す構文から、不定詞節全般の構造的拡張の影響をうけて、どれほどAバー移動的派生を許すようになってきたのかという示唆が得られよう。
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