2017 Fiscal Year Research-status Report
'to victory'タイプの結果句に対する語彙・構文論的分析
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16K02786
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩田 彩志 関西大学, 文学部, 教授 (50232682)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 語彙・構文アプローチ / 語彙意味論 / 構文理論 / 結果構文 / way構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目にto victoryについて明らかとなったことが、to successとto fameにも当てはまるかどうかを探ったが、その結果は対照的だった。まず3つのコーパス(British National Corpus, Wordbanks Corpus, Corpus of Contemporary American English)でto successを検索した結果、一定数の例が見つかった(BNC: 8例、WB: 9例、COCA: 57例)。to victoryの場合より数はかなり少ないが、移動動詞と共起する例(the Kings were skating to success)や、Direct Object Restrictionに違反する例(Smart companies will get ahead of that wave, and ride it to success and prosperity.)が見つかった。基本的にはto victoryと同じく、抽象的移動の抽象的goalを表す結果句であると結論づけることが出来る。 なお、結果構文としての例は多くなかったが、way構文にto successが生じる例は比較的多く見つかった(BNC: 14例、WB: 3例、COCA: 25例)。このことは、way構文が基本的に移動表現であることを考えれば、to successが抽象的goalを表す結果句であるとする分析を支持するものと言える。 次にto fameも同様に3つのコーパスで実例を探した。相当数が見つかった(BNC: 41例、WB: 222例、COCA: 149例)が、そのほぼ全てがJohnstone shot to fameのような例だった。ここでshootは文字通りの「撃つ」という意味でなく、メタファー的に解釈されており、「急激に有名になった」という意味を表している。つまり動詞がそもそも状態変化動詞になっているから、厳密には結果構文とは言えないことになる。to fameは、to victoryと少し違うタイプと考えざるを得ない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目は、一年目にto victoryを基にして考え付いた説明が、to successとto fameにも当てはまるかどうかを検証することを予定していた。そしてto successはto victoryとほぼ同じであるが、to fameはto victoryと必ずしも同じでないことが判明した。必ずしも思っていたように展開している訳ではないが、to victoryを基にした説明自体の妥当性に、何ら影響はない。あくまでもto fameがto victoryと同じでないというだけのことであり、「検証」という意味では、当初の計画通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
三年目は、to victoryと同じような特性を示す結果句として、to safetyとto freedomを調査する。やはり3つのコーパスを徹底的に調べて、すべての実例を収集する。ポイントとなるのは、移動動詞と共起するかどうか、とDirect Object Restrictionに違反する例があるかどうか、である。そしてそのような実例が見つかれば、to victoryについての説明を応用することが出来るかどうか、を検討する。もしもto victoryと全く同じでないことが判明した場合でも、to victoryとの関連性を探り、これまで気づかれていなかったタイプの結果句として位置付けることが出来るかどうか、を明らかにしたい。
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