2016 Fiscal Year Research-status Report
パラフレーズの教育方法に関するハンドブックの開発―理論・実践・応用―
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16K02796
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鎌田 美千子 宇都宮大学, 留学生・国際交流センター, 准教授 (40372346)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パラフレーズ / 言い換え / 書き換え / 第二言語 / 教授法 / 教材 / 指導書 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パラフレーズの教育方法に関する指導書の開発を目的とするものである。本年度は、以下の四点に取り組んだ。 第一に、本書の試案を構想するにあたって、既存の日本語教授法関連図書9冊の分析を行い、複数の言語技能の組み合わせとパラフレーズがどのように扱われているかを調べた。その結果、複数の言語技能を組み合わせた実践例を示しているものはわずかで、扱われているパラフレーズも極めて限られていた。この結果から、本研究で新たに開発する指導書では、基本事項に加えて、既存の指導書で不足している実践例についても触れる必要があるという示唆が得られた。 第二に、本書の基本方針と全体的な構成について検討した。日本語教授法を学ぶ学生を主な読み手として想定し、各自が授業設計・教材設計ができるように段階的に編成することにした。具体的には、パラフレーズに関する基本事項を学ぶ「理論編」、事例や教材例から教育実践を考える「実践編」、タスク形式でワークシート作成や教科書リライトをシュミレーションする「応用編」の三部構成とした。上述した第一及び第二の内容に関しては、「パラフレーズに関する指導書の開発の試み―複数の言語技能の組み合わせに注目して―」と題し、2016年度日本語教育学会秋季大会で発表した。これまで主として四技能別に展開されてきた日本語教授法を発展的に補完するといった特長を示すとともに、質疑を通して日本語教員養成の場にこのような指導書が必要とされていることを確認できた。 第三に、本書の「理論編」について検討した。四技能との関連にも触れながらパラフレーズの諸相を示し、さらに引用に関する事例検討も進めた。引用に関しては、図書(分担執筆、第6章3.引用と解釈)及びパネルディスカッションの一部として発表した。 第四に、本書の「応用編」の一部で扱う教科書リライトの方法論に関して検討し、論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、上述した通り、(1)既存の指導書の分析、(2)本書の基本方針と全体的な構成に関する検討、(3)「理論編」に関する検討、(4)「応用編」の一部となる教科書リライトに関する検討を進め、当初の計画通りに遂行することができた。学会等での発表を通して、本書の構想と中心的な事項を提示することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度から平成30年度にかけては、本書の「実践編」及び「応用編」に関する検討を行う。「実践編」では、具体的な事例や教材例を複数取り上げる予定である。「応用編」では、ワークシートの作成や教科書リライトを取り上げる予定である。 平成31年度の完成に向けて、引き続き、内容の充実を図るとともに、試作版の作成と改善、評価アンケートの準備を順次進めていく。
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Research Products
(4 results)