2016 Fiscal Year Research-status Report
現代日本語教育史研究のための情報リソースの構築―グローバルな視座の育成に向けて
Project/Area Number |
16K02806
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小川 誉子美 横浜国立大学, 国際戦略推進機構, 教授 (50251773)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語教育史 / 日本語教師養成 / ウエブ教材 / 日本語教育学 / 日本語教育の歴史と現状 / 言語政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語教育学は、日本語を教え学び合うことを通じて、国際文化交流の実践者としてのグローバル人材の養成を担う分野である。そのためには、長い歴史を有する日本語教育の沿革を学び、多様な事例の中で複眼的に時代を把握する力を養うことが必要である。本研究は、戦前を中心とした科研費による前プロジェクト(『日本語教育史のコンテンツの再構成と資料の公開に関する基礎的研究』(課題番号21520572))を引き継ぎ、1945年以降の展開に焦点をあて、初学者が取り組みやすいよう、ウエブサイトを通じて研究情報を発信するものである。なお、海外で多くの非母語話者が教壇に立ち、日本語教育研究を志す人々がいる今日、次世代を担う海外人材にも届けるべく、これまでのすべての「課題」を日本語・中国語・英語の三言語で発信する。なお、前プロジェクトで作成したウエブサイト『ようこそ!日本語教育・学習史のホームページへ』(http://ynu-isc-kokusai.jimdo.com/)は、本テーマに取り組む者が先行研究を読み解き、自ら歴史資料を確認しながら自律的にすすめられるよう、具体的な研究テーマと参考文献を示し、当分野を概観できるよう構成を考えた。歴史資料に関する情報を提供したことは、史実への関心を深めるきっかけとなると同時に、現在を歴史の一コマとして位置づけ、歴史から学ぶ意義を確認することができた。 日本語教育学の基礎科目「日本語教育の歴史と現状」(文化庁2000)が日本語教育養成機関において確立しているとは言い難い今日、日本語教育の現代史を中心に研究情報のリソースを構築し、多言語でウエブ上に公開する意義は大きいと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研プロジェクトは、日本語教育の戦後を中心とした現代史を扱い、前科研プロジェクトで作成した「課題」を含め、すべての「課題」を日本語、中国語、英語の3言語により、ウエブ上で発信するものである。当初の予定として、3年間で、各地域5~15点(日本、アジア、欧・ロシア、南北アメリカ、中東・アフリカ、オセアニア)、その他の地域を越えたトピック10~15点をおおよその目安として作成し、平成28年度は、上記地域のうち、欧・ロシア・南北アメリカを中心に、①文献の収集と選定 ②研究課題のリスト作成 ③授業での試行を実施することを計画した。 実際には、①・②については、不完全ながらも作成し、③の実践を通じて、さらなる課題が見えてきた。これと同時に、最終年度に実施する予定であった、3言語による発信に関しては、前プロジェクトで作成した「課題」を中国語、英語に翻訳し、ウエブ上での公開が実現した。また、本領域に関し執筆した論文が、海外の研究誌に、和文1件、英文1件の採択が決定した。また、海外で開催される国際学会での口頭発表が採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクトの2年目にあたる平成29年度は、次の3点を中心にすすめる。1)国内および海外での研究発表を通じ、本ウエブサイトを紹介し、必要とされるところに情報をとどける。2)各地域の文献収集、選定を行い、研究課題リストを作成する。3)2).で作成した研究課題を、担当の講義・演習で実践し、必要に応じ修正を加える。 1)に関しては、ヨーロッパで2件(ヨーロッパ日本研究者会議、日本語教育連絡会議)の口頭発表を予定している。国内でも積極的に機会をもとめる。2)の文献収集に関しては、一般書籍や論文をはじめ、古文書館訪問やデジタルアーカイブなどの一次資料を含める。3)の実践に関しては、専門科目(学部、大学院)と一般科目(学部)の3講義・演習において行う。このほか、海外協力者、内外の学会関係者や知人を通じて、可能な限り、本ウエブサイトを紹介していく。
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Causes of Carryover |
端数が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に組み込む
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