2016 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代のパブリックスピーキングにおける「説得」の諸相
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16K02807
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 奈保子 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (40588703)
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (90352525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 説得 / 聴衆への働きかけ / 理解の共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,グローバル社会で必要な,情報や考えを他人に伝える能力であるパブリックスピーキングにおいて,いかに他人を納得させるか,すなわち「説得」がどのようなプロセスで実現するのかについて検証を行うことを目的としている。 本年度は,まず説得プロセス全体を分析することを目指し,その具体的な一例として「全国大学ビブリオバトル」(全国決勝戦)のデータ,および,留学生の日本語クラスでの「ビブリオバトル」の実践データを用いて,説得のプロセスやどのような条件で説得が成功するかの分析を試みた。 データの文字起こしデータを用い,分析を行い,まだその途上ではあるが,現在の時点では,聴衆に対して質問をしたり,聴衆への提案を繰り返すなど,様々な形で聴衆への働きかけを行うことの重要性が浮かび上がった。また,「ビブリオバトル」では,スピーチの後で聴衆との質疑応答を行う時間が設けられていることが特徴であるが,ここで聴衆からの質問に効果的に答えられることも重要である可能性が明らかになった。必ずしも「正しい回答」をすることが重要なのではなく,聴衆の質問の意図を理解し,逆に聴衆へ質問するなど,積極的に聴衆とコミュニケーションを取るきっかけにする効果を持つことがわかった。つまり,一方的なスピーチでは,どんなに内容がよいものであっても効果的であるとは限らず,聴衆と何らかの形で直接コミュニケーションが実現でき,それが互いの理解の共有につながっていることが,説得に大きい影響を持つのではないかと考えられる。 上述の内容については,今後検証が必要であり,また他の要素がさらに抽出できる可能性があるため,継続的に調査を進める予定である。 これに加えて,非言語行動分析のための専攻研究の調査や,分析の試行なども開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定では,説得のプロセスの言語面での分析を主に行い,また非言語面での分析の準備を行うという計画になっていた。本年度は,研究の初年度であり,大きく成果が目に見える形でまとめられたわけではないが,分析を進め,さらに新しい分析のための準備を進めつつあるので,おおむね順調に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在「ビブリオバトル」のデータを行っている分析の結果をまとめ,学会等で発表すること,さらに他ジャンルのデータで同じような分析を行うこと,そして,非言語面での分析を具体的に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の深澤および分担者の山路,須藤とも,学務多忙の影響で,予定していた出張などを実施できない状況が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度開始から,計画的に出張などを予定し,昨年度に計画していた内容を実施できるように,計画する。
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Research Products
(1 results)