2018 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化時代のパブリックスピーキングにおける「説得」の諸相
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16K02807
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 奈保子 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40588703)
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90352525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パブリックスピーキング / 説得 / マルチモーダル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,グローバル社会で必要な,情報や考えを他人に伝える能力であるパブリックスピーキングにおいて,いかに他人を納得させるか,すなわち「説得」がどのようなプロセスで実現するのかについて検証を行うことを目的としている。 今年度は,説得プロセス全体を分析することを目指し,その具体的な一例として「全国大学ビブリオバトル」(全国決勝戦)のデータを取り上げ,説得のプロセスやどのような条件で説得が成功するかの分析を完成させ,論文(「日本語パブリックスピーキングにおける説得の特徴―書評ゲーム「ビブリオバトル」の観察から―」『日本コミュニケーション研究』 47(1) (査読付き)) にまとめた。これは,山路他(2014)における「コンテクスト共有」と,Hyland(2005など)の「メタディスコース」の理論を用いて,ビブリオバトルにおける説得が成功する際のパターンを明らかにしたものである。具体的には,説得に成功したスピーチでは,「コンテクスト共有」で共有した内容を軸にスピーチを進めるが,その途中で聴衆の予想を裏切るような展開をすることが多く,さらにそれを効果的に伝えるストラテジーが多く取られていることなどを明らかにすることができた。 またさらに本年度の計画として,非言語行動の説得における影響の調査と,他のジャンルのデータの分析が含まれているが,両者について実際の分析を開始し,その成果を部分的に論文(「日本語パブリックスピーキングのマルチモーダル分析のための予備的研究」『金沢大学国際機構紀要』第1号)にまとめたことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最終目的は,パブリックスピーキングにおける「説得」のモデル構築を行い,日本語教育や研修の方法を提案するということである。「説得」のモデル構築までは,順調に研究が進み,成果として,論文(「日本語パブリックスピーキングにおける説得の特徴―書評ゲーム「ビブリオバトル」の観察から―」『日本コミュニケーション研究』 47(1) (査読付き))および「日本語パブリックスピーキングのマルチモーダル分析のための予備的研究」『金沢大学国際機構紀要』第1号)にまとめることができた。 しかし,最終目標の日本語教育への提案の部分までは,到達できなかった。これは,研究代表者が最終年度に所属大学での重要業務があり,特に年度の後半に研究出張などがほとんどできなかったためである。そのため,この部分についてのみ,来年度に持ち越し,検討の上,論文などにまとめることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように,昨年度までにほぼ研究計画内で予定したパブリックスピーキングにおける「説得」のモデル化や非言語行動の分析については,研究を進めることができた。まだ手のついていない日本語教育への提案について,今年度,検討を進め,論文などにまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の深澤が,学内の重要業務のため,最終年度後半に研究出張などが難しくなった。そのため,研究にやや遅れが生じ,その分の助成金が使い切れなかった。残金は,今年度に持ち越し,研究を完成することにしている。
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Research Products
(5 results)