2019 Fiscal Year Annual Research Report
A dialogical contrastivestudy on verbal act: a comparative study on utterances in face-to-face interaction
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16K02811
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西口 光一 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (50263330)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対話原理 / 終助詞 / 発話 / 対照研究 / 対話に臨む姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回、対面的相互行為におけることばを対話論的に対照(具体的には日本語と英語)して研究することを通して、改めて以下のことが明らかになった。(1)各言語には個々の発話の構成以前に対話に臨む姿勢というようなものがあること、(2)そうした姿勢が実際の発話の構成に少なからず影響を与えること、(3)その影響の一つとして日本語発話における終助詞等の出現と英語におけるそうした要素の不出現あるいはその他の要素の出現という現象に現れること、である。(3)についての実証的な資料の概要を述べると、英語と日本語の2言語で公開されている、大部分が日常的な対面的相互行為で展開されている映画の英語のセリフと日本語のセリフを対照したところ、英語バージョンで平叙文となっている部分(809例)で、(a)日本語バージョンでは1つまたはそれ以上の終助詞が付加した発話が多数(37%)見られた、(b)「じゃない」「でしょ」「かも」「から」「のに」など終助詞以外が付加した発話も多数(9%)観察された、という特徴的な現象が観察された。これは日本語での言語活動では、叙述に対する態度や伝達態度などが留意されて、それを具体的に言語形式で示すことが要請されていることを示している。逆にいうと、日本語での言語活動従事において対話に従事する者は、叙述とそれへの判断だけでなく、発話の瞬間に現下の事柄に対する態度や伝達態度をもうごめかせてしばしばそれを言語的に表示するとこが慣習化されているということになる。そして、英語などの欧米語においては多くは欠如している終助詞等は対話に臨む基本的な姿勢に関わるものなので、その習得を支援するためには言語面での指導ではない種類の指導が必要であることが示唆される。
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