2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02817
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高橋 美奈子 琉球大学, 教育学部, 准教授 (60336352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷部 弘子 東京学芸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30227045)
本田 明子 立命館アジア太平洋大学, 言語教育センター, 准教授 (80331130)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語学習者 / 接触場面 / 自然談話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで研究代表者らが行ってきた日本語学習者の言語行動に関する探索的研究を踏まえ、新たに「日本語学習者談話の有効性」に着目した発展的研究に位置する。本研究は、多様な日本語使用者による日本語談話の価値を問い直すために、日本語学習者が第三者言語接触場面および相手言語接触場面においてどのような言語行動を獲得するのかを明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、これまでに収集した留学生による自然談話データ(来日直後および帰国前に、第三者言語接触場面と相手言語接触場面で収集)を談話研究の実証的かつ精緻な分析に耐えうるように、遠藤他(編)(2016)の文字化の原則に従って、整備を行った。さらに、整備した一部のデータを用いて、スピーチレベルシフトによる機能のバリエーションという観点に焦点を当て、非母語話者の自然談話を分析した。その結果、次の4点が明らかになった。1)学習者は、来日直後であっても戦略的に基本的なスピーチレベルを設定している。2)第三者言語接触場面であっても多様なシフトの機能を用いている。3)学習者同士の対話の積み重ねによっても多様なスピーチスタイルの機能の習得が可能である。4)スピーチレベルシフトの機能のバリエーションは、相手との言語能力の差や親疎関係などによっても影響を受けることが示唆され、相手との関係の多様性が望める第三者言語接触場面の有効性が見込まれる。 さらに、本年度は次年度の談話分析に必要な文献を収集したり、講読した。また、最新の情報を得るために学会や研究会等にも積極的に参加し、他の研究者から必要な情報を得たり、議論を交わしたりした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成28年度は自然談話データの整備を行い、次年度から談話データを用いた分析を行う予定であったが、研究プロセスにおいて、新たな分析結果が得られたため、今年度に次年度に予定していた分析の一部を行ったことにより、談話データの整備が若干遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策であるが、まずは、平成28年度に完了することができなかった自然談話データの整備を行い、さらにデータの修正や補足、不備等がないかどうかを確認する。 次に、整備した談話データを用いて、接触場面において日本語学習者がどのような言語行動を獲得するのかを明らかにするために談話分析を行い、その成果を口頭あるいは論文として、学会および研究会にて発表する。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定していた談話データの整備を終えることができなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に、平成28年度の未完了データ作業については実施する予定である。
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Research Products
(1 results)